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【疑問】システム開発の見積、半額との差は工程じゃなく工数でした

システム開発の見積もりの内訳と相場を解説。人月単価のからくり、多重下請けのマージン構造、そしてAIをフル活用した開発でなぜ費用が約半額にできるのかを、発注者向けにわかりやすく説明します。安くならない領域も正直に書きました。

佐野 泰規佐野 泰規株式会社AIエージェント 代表取締役約6分で読めます
コードが表示された画面のクローズアップ
Pexels / Pixabay

この記事でわかること

  • システム開発費はほぼ人件費。人月単価の相場は大手SIerで100〜160万円、中小で60〜100万円
  • 見積もりが膨らむ3つの理由(人力での実装・多重下請けのマージン・リスクバッファ)
  • AIフル活用の開発なら、同じ要件で約半額が現実的になる構造。値引きではなく工数そのものが違う
  • ただし要件定義・業務理解・テスト・移行は安くならない。「全部半額」を謳う会社はどこかを削っている

「業務システムを作りたい」と開発会社に相談したら、想像の倍の見積もりが返ってきた——。中小企業の経営者からよく聞く話です。この記事では、システム開発の見積もりがなぜ高くなるのかを分解し、AIをフル活用した開発でどこが安くなるのかを説明します。

先に断っておくと、AIを使っても安くならない工程はあります。 「全部半額」を謳う会社は、たいてい安くならないはずの工程を見積もりから落としているだけです。その線引きまで含めて書きます。

システム開発費用の相場感

まず前提として、受託開発の費用はほぼ「人件費」です。人月単価(エンジニア1人が1ヶ月働く単価)× 人月数で決まります。

発注先人月単価の目安
大手SIer100〜160万円
中堅・中小の開発会社60〜100万円
フリーランス50〜80万円

プロジェクト全体では、単一業務の小規模な業務システム(予約管理・在庫管理など)で150〜400万円、複数業務が連携する中規模システムで400〜900万円あたりが中小の開発会社に頼んだ場合の実勢です。

この「人月」という単位そのものが古いという批判はありますが、発注側にとっては見積書を検算できる唯一の共通言語でもあります。合計金額だけ書かれた見積書が来たら、単価と人月に割り戻して聞き返すだけで話の解像度が上がります。

見積もりが高くなる3つの理由

1. 人が全部書いていた

従来の開発は、設計書もコードもテストも人が手で書きます。たとえば画面が10個ある業務システムなら、それだけで数人月。単価80万円なら、その時点で数百万円です。

しかもコードを書く時間は、開発工程全体の一部にすぎません。同じくらいの時間が、テスト・修正・ドキュメント化に使われます。「実装が速くなっても全体は半分にならない」のはこのためで、後述する「安くならない領域」の話につながります。

2. 多重下請けのマージン

大手に頼むと、実際に手を動かすのは下請け・孫請けというケースが珍しくありません。間に入る会社ごとに管理費とマージンが乗り、現場のエンジニアに届くのは発注額の半分以下ということもあります。

これは金額の問題だけではありません。発注者の要望が現場に届くまでに人を何人も経由するため、伝言ゲームによる手戻りが起きます。中間マージンと手戻りは同じ構造から生まれる、というのがこの問題の本質です。

3. 「念のため」のバッファ

要件が曖昧なまま見積もると、開発会社はリスク分を上乗せします。仕様変更や手戻りを見込んだバッファが、見積もりを静かに膨らませます。

厄介なのは、このバッファは発注側から見えないことです。見積書に「リスクバッファ 80万円」とは書かれず、各工程の工数に薄く塗り込まれます。要件を具体化するだけで見積もりが下がるのは、値切ったからではなくバッファが薄くなるからです。

AIフル活用の開発で、どこが安くなるのか

生成AIの登場で、開発の工数構造は根本から変わりました。

  • コードの大部分をAIが書く。 設計・実装・テストコード生成にAIエージェントを使うと、同じものを作る工数が従来の数分の一になります。人は設計判断とレビューに集中します。
  • 少数精鋭・直接開発でマージンがない。 作る人が直接ヒアリングして直接作れば、多重下請けの中間マージンも伝言ゲームの手戻りも発生しません。
  • 動くプロトタイプで要件を固める。 分厚い仕様書の代わりに、早い段階で動くものを見せながらすり合わせるので、「イメージと違った」というやり直しコスト(=バッファ)を削れます。

この構造なら、中小の開発会社の相場の約半額は現実的な数字です。値引きではなく、かかる工数そのものが違うためです。

逆に、AIでも安くならない領域

ここが誠実さの分かれ目なので、はっきり書きます。次の工程はAIを使っても大きくは減りません。

工程AIで減るか理由
要件定義・業務ヒアリングほぼ減らない現場の暗黙のルールは社内にしか無い情報で、AIは知り得ない
業務フローの整理・意思決定減らない「どちらの業務に合わせるか」は経営判断であって技術の問題ではない
受入テスト・現場調整ほぼ減らない実際に使う人の時間が要る
データ移行あまり減らない既存データの汚れ方は個別事情の塊
実装・テストコード作成大きく減るAIが最も効く領域
改修・機能追加大きく減る既存コードの読解が速い

つまり AIが効くのは「作る」工程であって、「決める」工程ではありません。 逆に言えば、要件が固まっている案件ほど半額の効果が大きく、「何を作るか自体が曖昧」な案件では差が小さくなります。見積もりの段階でどちらなのかは、正直に伝えるべきところだと思います。

そしてこれが、「全部半額」を疑うべき理由でもあります。要件定義まで半額なら、その分ヒアリングを削っているか、テストを削っているかのどちらかです。安い見積もりは値引きではなく工程が抜けているだけというのは、ここでも当てはまります。

発注前にやっておくべきこと

  1. 作りたいものを言葉にする。 「誰が・何に困っていて・どうなれば成功か」を数行で書くだけで、見積もり精度は大きく上がります。前述のとおり、これはリスクバッファを直接削る効果があります。
  2. 相場を知ってから会う。 相場を知らないまま1社の見積もりを見ても、高いか安いか判断できません。
  3. 概算→相談の順で進める。 いきなり営業と会うより、先に概算を握っておくほうが話が早く進みます。
  4. 比較するなら3社まで、同じ条件で。 前提が揃っていない見積もりを並べても比較になりません。詳しくは相見積もりの取り方に書きました。

当社では、作りたいものを入力するだけでAIが約3分で概算見積もりを作る「AI見積もり」を無料公開しています。一般的な開発会社の相場と当社価格を並べて表示するので、相場観をつかむだけの利用も歓迎です。

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よくある質問

AIで作ったシステムの品質は大丈夫ですか?
品質を決めるのは、AIが書いたかどうかではなくレビューとテストの体制です。当社では実装にAIを使う一方、設計判断とコードレビューは人が行い、テストコードも成果物として納品します。逆に言えば、レビュー体制を説明できない会社にAI活用を任せるのは危険です。
「約半額」というのは値引きですか?
値引きではありません。同じ要件を作るのにかかる工数そのものが減っているためです。値引きは利益を削るので長続きしませんが、工数削減は構造なので継続します。ただし後述のとおり、工数が減るのは実装・テストの工程で、要件定義や業務理解は変わりません。
保守や仕様変更も頼めますか?
対応しています。むしろAI活用開発は、作ったあとの改修が速くなるのが利点です。ただし保守費用は初期構築費の10〜15%/年が一般的な目安で、ここは相場から大きくは外れません。
見積もりが他社より安いと、あとで追加請求されませんか?
追加請求が起きるのは価格帯の問題ではなく、前提条件と除外事項が曖昧なときです。見積書に「含まないもの」が明記されているかを必ず確認してください。判断の手順は見積書の読み方の記事にまとめています。
ソースコードはもらえますか?
当社では納品物としてお渡ししています。これは発注先を選ぶ際の重要な確認事項で、コードを渡さない契約だと、将来ほかの会社に引き継ぐことができず実質的に囲い込まれます。契約前に著作権の帰属を必ず確認してください。

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