【要注意】助成金で研修費は無料になりません|厚労省が挙げた勧誘3つ
人材開発支援助成金を使えば研修がタダになる、という説明を受けたら要注意です。厚生労働省は「訓練経費が無料になったり、利益を得たりすることは制度上できません」と明記し、危険な勧誘の文句を3つ名指ししています。あわせて2026年8月3日以降の支給申請から、不正受給は事業主名が公表される扱いになりました。公式リーフレットの原文から整理します。

この記事でわかること
- 厚生労働省のリーフレットは「この助成金を利用して訓練経費が無料になったり、利益を得たりすることは制度上できません」と明記している
- 助成金を受けるには事業主が訓練費を全額負担することが必須要件。返金・クーポン・サービスの提供を受け取ると全額負担していないとみなされ、助成金は受給できない
- 危険サインとして3つの勧誘文句が名指しされている(広告協力で費用負担なし/後からキャッシュバック/専門家監修なので不正ではない)
- 2026年8月3日以降の支給申請から、自主申告がなければ事業主名と代表者名が公表される。助成金を受領していなくても、支給申請を行った段階で公表対象になる
「助成金を使えば研修費は実質タダになります」。研修の営業でこう言われたら、その場で断ってください。
厚生労働省は人材開発支援助成金について、訓練経費が無料になることは制度上できないと明記したリーフレットを出しています。そして、危険な勧誘の文句を3つ名指ししています。
人材開発支援助成金で訓練経費が無料になることは、制度上できない
まず原文です。
人材開発支援助成金は、企業が支払った訓練経費の一部を助成する制度です。この助成金を利用して訓練経費が無料になったり、利益を得たりすることは制度上できません。
・助成金を受けるには、事業主が訓練費を全額負担することが必須要件 ・訓練経費の返金、クーポン、サービスの提供などを受け取ると・・・ → 全額負担していないとみなされ、助成金は受給できません。
——厚生労働省「『訓練経費』は無料になりません」(2026年9月6日閲覧)
「一部を助成する制度」という一文が要点です。助成される割合が決まっている以上、残りは事業主が負担します。全額が戻ってくる設計になっていません。
そのうえで、返金・クーポン・サービスの提供を受け取ると「全額負担していないとみなされる」と書かれています。ここが見落とされやすいところで、支払いの時点で満額を振り込んでいても、後から何らかの形で戻ってくれば要件を満たさなくなります。
厚労省が名指しした、危険な勧誘の3つ
同じリーフレットに、そのまま列挙されています。
こんな提案を受けていませんか? ・「広告協力してくれたら費用負担なし」 ・「後からキャッシュバックがあります」 ・「この訓練は専門家監修なので不正ではないです」 → 不正受給のリスクがあります!まずは労働局に相談を!
3つ目に注目してください。「専門家監修なので不正ではない」という言い方が、わざわざ危険サインとして挙げられています。監修者がいることと、制度の要件を満たすことは別の話です。
私はこの3つを、次のように読み替えて確認しています。
| 言われたこと | 実質的に何が起きるか | 要件との関係 |
|---|---|---|
| 広告協力してくれたら費用負担なし | 事業主が訓練費を負担していない | 全額負担の要件を満たさない |
| 後からキャッシュバックがあります | 支払った額の一部が戻る | 返金に該当し、全額負担とみなされない |
| 専門家監修なので不正ではないです | 判断の根拠が制度ではなく人になっている | 監修の有無は要件に含まれない |
厚生労働省は、教育訓練機関等からこれらに該当する勧誘を受けた場合は労働局へ情報提供を、とも書いています。つまり、勧誘する側だけでなく受けた側が動くことを想定した書き方になっています。
「実質1.5万円」と「全額負担が必須」は矛盾しない
ここで疑問が出るはずです。当社を含め、研修の価格を「助成金活用時の実質◯万円」と表示している会社があります。それは今の話と矛盾しないのか。
矛盾しません。違うのはお金が動く順番です。
| 正しい形 | 危険な形 | |
|---|---|---|
| ① | 事業主が訓練費を全額支払う | 値引き・肩代わりで最初から払わない |
| ② | 訓練を実施する | 訓練を実施する |
| ③ | 支給申請 → 審査 | 研修会社から返金・キャッシュバック |
| ④ | 審査を通れば助成金が入る | — |
当社のAI研修は1名6万円(税別)からで、「助成金活用時の実質1.5万円/名〜」と表示しています。これは先に6万円を全額お支払いいただき、訓練を実施し、支給申請の審査を経て後から助成が入るという前提の数字です。研修会社が値引きしたり返金したりする話ではありません。
だから当社は「実質1.5万円」を裸で書かず、必ず「助成金活用時」という条件を添えています。受給を保証できないからです。支給には審査があり、訓練の開始前に計画届の提出が必要で、要件を満たさなければ不支給になります。
言い換えると、「助成金活用時」という但し書きを外して価格を出している研修は、その時点で危ないということです。
2026年8月3日から、不正受給は事業主名が公表される
もう1本のリーフレットが、この扱いを変えています。
不正の自主申告がない場合、不正な申請をした事業主は公表します!
労働局が調査を行う前までに、自主申告をしない場合は・・・ ・支給申請を行った段階で公表対象になります ・事業者名と代表者名などが公表されるため、会社の信用・評判を失うおそれがあります
——厚生労働省「不正受給した事業主は公表されます」(2026年9月6日閲覧)
同リーフレットの注記に 「8月3日以降の支給申請から適用されます」 とあります。
重いのは「支給申請を行った段階で公表対象になります」という部分です。注記にも「助成金を実際に受給していない場合を含む」と書かれています。お金を受け取っていなくても、申請した時点で対象ということです。
自主申告した場合の扱いも書かれています。
仮に不正受給に該当した場合でも、以下の場合には原則として、事業主名は公表されません。 ・受給した金額+違約金+延滞金を速やかに返還した場合 ・支給申請はしているものの、助成金の受領前である場合
ただし例外があり、調査に非協力的である場合は自主申告と認められず、特に重大または悪質な場合は非公表の対象から除かれます。支給決定取消等を行った額が100万円未満の場合と、事業主が不正受給に関与していないことが明らかな場合も、扱いが分かれます。
研修会社を選ぶときに確認する3点
ここまでを、発注側のチェックに落とします。見積書と契約書を見れば分かる範囲です。
- 請求額と「実質額」が別に書かれているか。 契約金額はあくまで全額で、助成金は別の話です。契約書の金額そのものが実質額になっている提案は、支払いの構造から確認してください
- 返金・値引き・付帯サービスの約束が無いか。 「受給できなかったら返金します」という条件も、返金である以上は同じ論点に触れます。口頭の約束であっても後で問題になります
- 計画届の提出時期を説明できるか。 訓練の開始前に出す必要があるので、「先に始めて後から申請しましょう」という進め方を提案する会社は、制度を分かっていない可能性があります
3点とも、研修の中身の良し悪しとは関係がありません。中身が良い研修でも、お金の流れが要件から外れていれば助成は受けられないという話です。
なお制度は改正されます。当社の記事でも2026年8月3日の改正や経過措置の5分類を扱っていますが、申請前には必ず厚生労働省と管轄の労働局の最新の案内を確認してください。
助成金の話をする前に、研修の中身と自社の現在地を決めておく
助成金は手段なので、先に決めるのは「誰に何をできるようになってほしいか」です。自社が今どこにいるかはAI適合度診断の10問で点数が出ます。連絡先の入力は要りません。
研修の中身と価格はAI研修のページにまとめてあります。1名6万円(税別)から、助成金活用時の実質1.5万円/名からで、いずれのプランも訓練時間は10時間以上です(人材開発支援助成金の支給対象が実訓練時間数10時間以上のため)。
出典
- 厚生労働省「『訓練経費』は無料になりません」(人材開発支援助成金・不正受給)(2026年9月6日閲覧)
- 厚生労働省「不正受給した事業主は公表されます!」(人材開発支援助成金)(2026年9月6日閲覧。「8月3日以降の支給申請から適用されます」の注記あり)
- 厚生労働省「人材開発支援助成金」(2026年9月6日閲覧)
よくある質問
- 助成金を使えば研修費は実質タダになりますか?
- なりません。厚生労働省のリーフレットは「この助成金を利用して訓練経費が無料になったり、利益を得たりすることは制度上できません」と明記しています。事業主が訓練費を全額負担することが助成の必須要件です。
- 「実質◯万円」という表示は違反ではないのですか?
- 支払いの順番が違います。先に事業主が全額を支払い、訓練の実施と支給申請を経て、審査のうえ後から助成金が入る形であれば要件と矛盾しません。問題になるのは最初から払わない形や、後から研修会社が返金・キャッシュバックする形です。
- どんな勧誘に注意すればいいですか?
- 厚生労働省は3つを挙げています。「広告協力してくれたら費用負担なし」「後からキャッシュバックがあります」「この訓練は専門家監修なので不正ではないです」。いずれも不正受給のリスクがあるとして、労働局への相談・情報提供を呼びかけています。
- 不正受給になると何が起きますか?
- 2026年8月3日以降の支給申請分から、労働局の調査前に自主申告をしなかった場合、事業主名と代表者名などが公表されます。助成金を実際に受給していなくても、支給申請を行った段階で公表の対象になります。
- 助成金は申請すれば必ず受給できますか?
- できません。支給には審査があり、訓練の開始前に計画届の提出が必要です。要件を満たさなければ不支給になります。制度の内容は改正されるため、申請前に必ず厚生労働省と管轄の労働局の最新の案内を確認してください。
助成金を使えば、実質1/4
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