ChatGPTで見積書を作る手順|断り書きは書くのに合計には入ります
架空の依頼と単価表をAIに渡して、お客様へ送る見積書を作らせました。単価表に無い項目の金額は空けたのに、誰も指定していない消費税率・数量・支払条件は埋まりました。合計583,000円のうち103,000円が、渡していない前提から出た金額でした。プロンプトに4つの規則を足して直したときの前後と、人が必ず確認する欄の判定表をまとめます。

この記事でわかること
- 架空の依頼と単価表を渡して見積書を作らせたら、単価表に無い項目の金額は空けた(別途お見積りと書いた)。埋まったのは金額以外の条件のほう
- 誰も指定していない消費税率10%・操作説明会1回・有効期限・支払条件・振込手数料の負担・回答期限・説明会の所要時間の7つが、渡していないのに書かれていた
- 合計583,000円のうち103,000円(17.7%)が、渡していない前提から出た金額。しかも隠れてはおらず、表にも社内メモにも書いてあった——問題は断り書きの有無ではなく、その数字が合計に入っていたこと
- プロンプトに4つの規則を足して再実行したら、合計は480,000円に下がり、税額と税込合計は出さなくなった。確定していない行が残っていることも合計の横に書いた
見積書づくりでAIが効くのは、文面と内訳の「形」を一瞬で出してくれるところです。項目名も備考の並べ方も毎回ほぼ同じだからです。ただし見積書は、送った瞬間に金額の提示になります。そこで架空の依頼と架空の単価表を渡し、そのまま送れる形の見積書を作らせました。心配していたのは「単価表に無い金額を勝手に作ること」でしたが、そこは起きませんでした。 代わりに別のところが埋まっていました。
本記事の入出力は、架空の依頼内容・架空の単価表を当社が実際にAIへ渡して得たものです(実行日 2026年9月17日・実行環境 Claude)。実在の取引先の情報は使っていません。
ChatGPTで見積書を作るやり方|渡す材料と、渡さないもの
渡したのは、依頼内容(架空の「株式会社サンプル物流様」・配送管理システムの画面3つの改修、Excel実績の取り込み、操作説明、年内納品希望)、単価表の抜粋(画面改修 1画面80,000円/要件整理 1人日60,000円/操作説明会 1回50,000円)、分かっている数量(画面改修3画面・要件整理4人日)、そして「見積書の文面と内訳を作ってください」という指示です。
渡していないものも並べます。 ここが主題です。
- データ移行の単価(単価表に項目が無い)
- 操作説明会の回数と所要時間
- 消費税の扱い(単価表に税込・税抜の区分を書いていない)
- 見積の有効期限・支払条件・振込手数料の負担・回答期限
実在の取引先名や実際の単価表を入れてよいかは、プランの設定と社内規程で決まります。線引きの作り方は生成AIの社内ルールの作り方にまとめました。
手順1|そのまま頼んでみた結果
挨拶文・内訳表・合計・備考までそろった見積書が出ました。期待した失敗は起きません。 単価表に無い「データ移行」は金額を作らず 別途お見積り として切り出し、社内メモに「憶測で金額を入れると差し替え時に不信を招く」とまで書いていました。
問題は合計 御見積金額 583,000円(税込)※データ移行費を除く です。材料と突き合わせます。
| 行 | 金額 | 渡したか |
|---|---|---|
| 要件整理 4人日+画面改修 3画面 | 480,000円 | 渡した |
| 操作説明会 1回 × 50,000円 | 50,000円 | 回数を渡していない |
| 消費税(10%) | 53,000円 | 税率も税区分も渡していない |
| 合計(税込) | 583,000円 | — |
583,000円のうち103,000円(17.7%)が、渡していない前提から出た金額でした。足し算自体はこちらの独立計算(240,000+240,000+50,000=530,000)と一致しています。合っていたのは計算であって、足す対象ではありません。
条件のほうはもっと埋まっていました。渡していないのに書かれたものです。
- 消費税10%(単価表に税の区分を書いていない)
- 有効期限「2026年10月16日」
- 支払条件「検収完了後、翌月末日までに銀行振込」・振込手数料は先方負担
- 「3営業日以内に追加のお見積りをご提示いたします」
- 操作説明会の所要時間「2時間程度」
- 追加1回あたり「50,000円(税別)」
最後の2つは矛盾します。本文は10%を加算して単価表を税抜と解釈し、備考は「税別」と書いている。 単価表が税込なら総額が10%ずれます。国税庁のタックスアンサーNo.6902は総額表示義務の対象を「事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格」としており、事業者間取引が対象とは書かれていません。どちらで出すかは自社が決める話です。
そして、どれも隠されてはいません。 消費税は表に「消費税(10%)」と書いてあり、説明会1回の想定も社内メモにありました。問題は断り書きの有無ではなく、断ったはずの数字が合計に入っていたこと。 太字の「583,000円(税込)」だけ見て送る——それで成立してしまいます。
手順2|うまくいかないときの直し方
同じ依頼に規則を足して投げ直しました。
【必ず守る規則】
1. 私が渡していない情報は、金額・数量・条件のいずれであっても「要確認」と書く。推測で埋めない。
2. 消費税は、単価表に税の区分(税込か税抜か)が書かれていなければ
「単価表の税区分を要確認」とだけ書き、税額と税込合計を出さない。
3. 有効期限・支払条件・振込手数料の負担・回答までの日数・説明会の所要時間は、
私が渡していなければ書かず「要確認」とだけ書く。
4. 合計は、金額が確定している行だけで計算し、
確定していない行が残っていることを合計のすぐ横に書く。
5. 最後に「お客様に送る前に、社内で埋める必要がある欄」を箇条書きで列挙する。
結果はこう変わりました。
| 1回目 | 2回目 | |
|---|---|---|
| 操作説明会 | 1回・50,000円として合計に算入 | 数量「要確認」・金額を出さない |
| 消費税 | 10%・53,000円を加算 | 「単価表の税区分を要確認」・税額と税込合計を出さない |
| 合計 | 583,000円(税込) | 480,000円(確定分のみ)+「金額が確定していない行が2行残っています」 |
| 有効期限・支払条件・振込手数料・回答日数・所要時間 | 5つとも具体値を記載 | 5つとも「要確認」 |
合計が103,000円下がったのが、この実験のすべてです。 減ったぶんが渡していない前提から出た金額でした。効いたのは規則4で、1〜3だけでは断り書きが付くだけで同じ数字が合計に残り得ます。合計の作り方まで指定して、はじめて金額が動きました。
この作業でAIに任せてよい範囲と、人が確認する場所
見積書は欄ごとに性格が違うので、一律に決めるとどちらかで必ず損をします。
| 欄 | AIに任せてよいか | 人が確認する場所 |
|---|---|---|
| 挨拶文・体裁・項目の並び | ◯ 任せてよい | 社内の定型と言い回しが違わないか |
| 作業内容の説明文 | ◯ 任せてよい | 実際にやらない作業が書かれていないか |
| 単価 | × 任せない | 単価表の数字と1件ずつ突き合わせる |
| 数量 | × 任せない | 渡していない数量が入っていないか |
| 小計・合計の計算 | △ 出させてよい | 計算ではなく、足している行を見る |
| 消費税の扱い | × 任せない | 単価表の税区分と、自社の出し方 |
| 有効期限・支払条件・振込手数料・回答期限 | × 任せない | 自社の規定どおりか・こちらが決める欄か |
| 納期の約束 | × 任せない | 現場が持てる日付か |
| 前提条件・含まないもの | △ 出させてよい | 約束していない条件が紛れていないか |
×の欄に共通するのは「会社が決めた答えが別の場所にある」ことです。 単価表・社内規程・現場の稼働。AIはそこを見られないので、渡さないかぎり作るしかありません。
自社でやるのが大変なときの頼み先
この確認を毎回人がやるなら、見積作成は手作業のまま。単価表を参照先として固定し、そこに無い数字を出させない仕組みにすれば、確認する欄は数量だけに減ります。費用は見積書作成を自動化する費用に、頼む先の選び方はAIエージェント開発会社の選び方にまとめています。
仕組みにする前に、人が確認する欄がいくつ残るかを数える
判定表で×が付いた欄は5つ。それが自社でいくつになるかを数えると、任せる価値があるかが先に分かります。
自社の現在地を10問で確かめるならAI適合度診断(無料・連絡先の入力は要りません)、金額の当たりを付けたいならAI見積もり(無料・約3分)をお使いください。
出典
- No.6902 「総額表示」の義務付け(国税庁・2026-09-17 閲覧)
- 本記事の入出力は、架空の依頼内容と架空の単価表を当社が実際にAIへ渡して得たものです(実行日 2026年9月17日・実行環境 Claude)
よくある質問
- ChatGPTに見積書を作らせても大丈夫ですか?
- 文面と内訳の形を作らせるのは有効です。ただし金額の確定はさせないでください。実際に試すと、単価表に無い項目は「別途お見積り」と空けた一方で、消費税率・数量・有効期限・支払条件は渡していないのに埋まりました。見積書は送った瞬間に金額の提示になるので、人が確認する欄を先に決めてから使うのが前提です。本文の判定表にその欄を並べています。
- 顧客名や金額を入力しても問題ありませんか?
- 社内のルールを先に決めてください。この記事の実験は架空の会社名・架空の単価表で行っています。実在の取引先名・担当者名・実際の単価表を入れてよいかは、利用しているプランの学習設定と社内規程で決まります。判断の作り方は生成AIの社内ルールの作り方にまとめています。
- 合計金額の計算は信用してよいですか?
- 検算はしてください。今回の実験では 240,000+240,000+50,000=530,000円、消費税53,000円、税込583,000円で、こちらの独立計算と一致しました。ただし合っていたのは足し算であって、足す対象が正しいかは別の話です。今回は誰も指定していない「操作説明会1回 50,000円」が足す対象に入っていました。検算するのは計算式ではなく、行そのものです。
- 消費税は税込と税抜のどちらで出すべきですか?
- 会社が決めることで、AIに決めさせる欄ではありません。国税庁のタックスアンサーNo.6902は、総額表示義務の対象を「事業者が消費者に対してあらかじめ表示する価格」としています。事業者間の取引が対象と書かれてはいないので、B2Bの見積書をどちらで出すかは自社の運用次第です。今回の実験では単価表に税の区分を書かなかったのに、AIは10%を加算し、備考では「税別」と書きました。単価表が税込だったら、総額が10%ずれます。
- プロンプトに何を書けば直りますか?
- 「渡していない情報は要確認と書く」だけでは足りませんでした。効いたのは4つです。①渡していない情報は金額・数量・条件のいずれでも「要確認」と書く ②単価表に税の区分が書かれていなければ税額と税込合計を出さない ③有効期限・支払条件・振込手数料の負担・回答日数・所要時間は渡していなければ書かない ④合計は金額が確定している行だけで計算し、確定していない行が残っていることを合計の横に書く。④が無いと、断り書きはあるのに合計には入る形が残ります。
自社の場合、いくら?
作りたいものを入力するだけで、AIが約3分で概算見積もりを作成します。一般的なSIer相場との比較つき、無料・営業からのしつこい連絡はありません。
AIで概算見積もり(無料) →先に費用の目安を知りたい方は用途別の費用相場へ。