AIエージェントの運用ログの残し方|エラーが無い日を疑う
AIエージェントの運用ログの残し方を手順で書きました。実行一覧の緑は「セッションが起動して異常終了しなかった」という意味で、タスクの成功ではありません。指示文に3行の報告を書かせ、別のファイルへ追記し、0件が続いたら機械が止める形まで作ります。公式ドキュメントに書かれている「静かに走らない」3つの経路も引きました。

毎朝きちんと動いていて、実行一覧も緑が並ぶ。それでもその仕事が終わっているとは限りません。
動かし始めて最初に困るのは、失敗することではなく、「動いているように見えるのに、何もしていない」状態に気づけないことです。止まる原因はエラーとして出ないことが多いからです。
AIエージェントの運用ログの残し方|「動いた」と「やり切った」は別の数字
道具は、当社が自社の業務を回している Claude Code のルーティン(スケジュール実行)を例にします。項目名はこの道具のものですが、考え方は同じです。
まず前提を1つ。実行一覧に並ぶ緑の表示は、成功の印ではありません。
A green status in the run list means the session started and exited without an infrastructure error. It does not mean the task in your prompt succeeded.
——Automate work with routines|Claude Docs(2026年9月23日閲覧)
同じ注記に、通信の遮断・連携ツールの不足・タスク自体の失敗は、状態表示ではなく実行の中身に出るとも書かれています。一覧を眺める運用は設計として穴があるということです。残すのは、道具が付ける状態ではなく自分で決めた数字にします。
準備|ログに書いてよい情報の線引きを先に決める
ログは長く残り、後から検索されます。個人を特定できるものを入れないのが原則です。
- 書かせない……顧客の氏名・連絡先・メール本文・契約金額
- 書かせる……件数、分類(A/B/C)、処理にかかった時間、迷った理由の一文
- 判断が要る……取引先名の入った件名
線引きは生成AIの社内ルールの作り方にあります。この記事の数字は架空のダミーです。
作る手順|3行の報告を出させて、別の場所へ追記する
手順1 指示文の最後に「報告の形」を書く
自由に書かせると毎回違う形で返り、後から数えられません。形を固定します。
【最後に必ず出す】
次の3行を、この順番・この書式でそのまま出力する。
処理した件数: <数字>
人に回した件数: <数字>
要確認の件数: <数字>
数えられなかった項目は 0 ではなく - と書く。
最後の1行が効きます。「数えられなかった」と「0件だった」を同じ 0 にすると、点検できなかった日が正常に化けます。
手順2 その3行を、実行の外へ追記させる
実行のセッションは毎回まっさらで、前回の数字は残りません。指示文に「どこへ書き出すか」を足します。当社はリポジトリ内の1ファイルへ、1日1行の追記だけを許す形にしています。
報告の3行を runs.tsv の末尾に1行で追記する(タブ区切り)。
日付<TAB>処理した件数<TAB>人に回した件数<TAB>要確認の件数
既存の行は書き換えない。追記だけを行う。
追記専用にするのは、過去を上書きさせないためです。書き換えを許すと都合の悪い日が消えます。
手順3 その数字を機械に読ませる
人が毎日見るのは続きません。0件が続いたら止まる形にします。実際に動かした出力です(ダミー)。
2026-09-17 処理 12 / 人に回した 4 / 要確認 1 ok
2026-09-18 処理 9 / 人に回した 3 / 要確認 0 ok
2026-09-19 処理 0 / 人に回した 0 / 要確認 0 ZERO
2026-09-20 処理 0 / 人に回した 0 / 要確認 0 ZERO
2026-09-21 処理 0 / 人に回した 0 / 要確認 0 ZERO
→ 【要対応】処理0件が3日続いています(2026-09-21 時点)
この3日間、実行は毎日走っていて一覧は緑のままです。気づけるのは件数を別に数えているからです。
手順4 自己申告と痕跡を突き合わせる
報告の数字は自己申告なので、それだけでは信じません。「やった」と書いてある日に、ファイルが増えたか・コミットが入ったかを別々に数え、食い違う日を拾います。当社は自社の業務をこの形で回していて、報告は正常なのに成果物が1件も検査されていなかった、という食い違いが実際に出ます。
人が止める場所|承認・確認・ログの3つ
承認は外に出る操作の直前に人を挟む仕組みで、置き方はAIエージェントの暴走を止める方法に書きました。
確認がこの3行です。毎朝そろっていれば中身を全部読まなくてよいのが目的です。
ログは、後から数えられる形の記録です。追記専用の1ファイルと、それを読む検査。この2つが揃って初めてログになります。
静かに走らない3つの経路
公式ドキュメントに、実行されない条件が書かれています。いずれもエラーとしては出ません。
- 連携の期限切れ……GitHub接続が切れると最大72時間は実行がスキップされ、その後オフになる
- 上限……1日の実行上限や契約の利用上限に達すると、利用クレジットがオフの場合は以降の実行が拒否される
- 契約の一時停止……停止している間、ルーティンは保留になり実行されない
3つとも「失敗した」ではなく「走らなかった」です。だから0件の日を異常として拾う手順3が要ります。
うまくいかないときの直し方
- 3行が毎回違う形で返る……指示文で書式を固定し、「この順番・この書式でそのまま出力する」と書く
- 0件なのか未計測なのか分からない……
-と0を分ける - 数字は出ているが中身が薄い……「迷った理由の一文」を1行足す。読む量は増えません
- 何が起きたか分からない……CLIで
/scheduleに実行履歴を尋ねると、直近の実行の状態とWebで開くリンクを出し、ログを読んで何が起きたか(ツールのエラー・権限の拒否・最終結果)を説明させられる、と公式ドキュメントにあります
判定表|どの数字を、どこで、誰が見るか
当社の表です。軸は「後から数えられるか」の1つにしています。
| 残すもの | 後から数えられるか | 置き場所 | 見る人と頻度 |
|---|---|---|---|
| 処理した件数 | ◯ | 追記専用の1ファイル | 機械が毎日・人は異常時 |
| 人に回した件数 | ◯ | 同上 | 同上 |
| 要確認の件数 | ◯ | 同上 | 同上 |
| 迷った理由の一文 | △ 読まないと分からない | 同上 | 人が週1回 |
| 実行一覧の状態表示 | × 起動の成否のみ | 道具側 | 単独では見ない |
×の行は「記録しない」ではなく、単独で正常の根拠にしないという意味です。
自社でやるのが大変なときの頼み先
1本目は自社でも組めます。難しくなるのは本数が増えてからで、どれがどの数字を出しているか分からなくなります。作る側を外に頼むならAIエージェント開発会社の比較、小さく試せる先を探すならAI開発を小規模から頼める会社7選に、公式サイトの記載だけで並べています。
数字を決める前に、任せてよい業務かを確かめておく
3行の数字は、何を任せるかが決まってから決まります。任せる業務が決まっていないと、何を数えるかも決まりません。
AI適合度診断は10問で、どこから手を付けるべきかを点数にします。連絡先の入力は要りません。 作りたいものが決まっているならAI見積もりに書くと約3分で概算が出ます。
出典
- Automate work with routines|Claude Docs(2026年9月23日閲覧)——緑の意味、遮断・連携不足・タスク失敗の出どころ、GitHub接続の切れと72時間、実行上限、契約停止中の保留、時刻のずれ、CLIから実行履歴を読ませる方法
自社の場合、いくら?
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