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ChatGPTで議事録を作る手順|要約だと無かったToDoが増えました

会議の文字起こしから決定事項とToDoを取り出す手順を、架空の会議データで「要約して」だけの版と4点指定の版の両方を実際に実行して比べました。留保は消えませんでしたが、代わりに会議で誰も言っていないToDoと未確定事項が足されました。渡す前の線引き・そのまま使えるプロンプト・出た結果の検算のしかた・人が必ず見る場所を、両方の実行結果つきで書きました。

佐野 泰規佐野 泰規株式会社AIエージェント 代表取締役約10分で読めます
木のテーブルでノートに手書きでメモを取っている手元と、隣に置かれたノートパソコン
Pexels / Anna Tarazevich

この記事でわかること

  • 「要約して」だけでも留保は消えなかった。代わりに、会議で誰も言っていないことが足された。架空の会議で両方を実行して比べたところ、留保3つのうち2つは要約側にも残った一方、担当者が「全員」のToDoと「値上げの影響額」という未確定事項が新しく足された——どちらも文字起こしに無い
  • 4点指定(役割・入力・出力の形・禁止)が効くのは「足されるのを止める」ほう。禁止の「文字起こしに無いことを補わない」「期日が言われていない項目に期日を作らない」が、要約側で起きた創作を実測で止めた
  • 出た結果は3か所だけ人が見る——数字・期日・主語(誰がやるか)。この3つは文字起こしの聞き間違いがそのまま通るので、AIの側では直せない
  • 渡す前に線引きがいる。個人名・単価・取引先名をそのまま貼らない運用にできるかを先に決める

会議の文字起こしを貼り付けて「要約して」と頼むと、きれいな議事録が出てきます。読みやすいし、決定事項も並んでいます。

ただ、そこに静かに混ざるものがあります。会議で誰も言っていないことです。

架空の会議データを作って、「要約して」だけの版と、出力の形まで指定した版の両方を実際に流して比べました。

予想は外れました。留保は消えませんでした。代わりに、会議で誰も言っていないことが2つ足されていました——担当者が「全員」のToDoと、「値上げの影響額」という未確定事項です。次の会議で問題になるのは、こちらのほうです。

以下は、その回避まで含めた手順です。入力と出力は当社が実際に実行したものを載せています(実行環境は当社が普段使っているClaudeですが、手順はツールに依存しません)。

ChatGPTで議事録を作る手順は4つに分かれる

  1. 文字起こしを用意する
  2. 渡してよい情報かを確認する(ここを飛ばさない)
  3. 出力の形を指定して投げる
  4. 3か所だけ人が検算する

会議アプリの文字起こし、スマートフォンの録音アプリ、専用の議事録ツール——1はどれでも構いません。この記事は文字起こしができたところからの話です。なお録音には参加者の同意が要ります。

渡す前に決めること

文字起こしには、たいていそのまま外に出せない情報が入っています。取引先の社名、単価、個人名、まだ公になっていない人事。

「入れてよい情報/だめな情報」を先に決めておかないと、判断が毎回その人の感覚になります。決め方は生成AIの社内ルールの作り方に書きました。まだ決まっていない会社は、固有名詞を伏せ字(A社・担当者B)に置き換えてから渡す運用にしておけば、少なくとも事故は起きません。

この記事の実行例も、架空の会社・架空の人物で作ったデータを使っています。

実際に投げたプロンプト

指定するのは4点だけです。役割・入力・出力の形・禁止(プロンプトの書き方と同じ型を使っています)。

あなたは製造業の会議の議事録担当です。
以下は会議の自動文字起こしです。整形されておらず、言い直し・雑談が混ざっています。

次の4つの見出しで出力してください。
1. 決定事項(箇条書き)
2. ToDo(誰が / 何を / いつまで の表)
3. 未確定・要確認(決まっていないこと、留保が付いた発言)
4. 数字(金額・数量・日付をそのまま抜き出す)

禁止:
- 文字起こしに無いことを補わない
- 期日が言われていない項目に期日を作らない
- 「〜と思われる」で断定しない。留保が付いた発言は3に入れる

---
(ここに文字起こしを貼る)

この記事の要点は「禁止」の3行です。実測では、ここを指定しないと出力に創作が混ざりました(後述)。見出しの指定は、どこを人が見ればいいかを固定するために置いています。

入力に使った文字起こし(架空)

田中: じゃあ始めます。先週の続きで、A社さんの追加分の件ですね。
佐藤: はい。あの、数量が最初200個って聞いてたんですけど、先方から連絡があって、320個に増えました。
田中: 320。えっと、それ納期は変わらず?
佐藤: 納期は……すみません、そこがまだで。一応10月14日って言われてるんですけど、確定ではないです。
田中: うーん。320だと今のラインだと厳しいな。鈴木さん、どう?
鈴木: 厳しいですね。今のシフトだと、まあ、月末までに280が限界かなと。残り40は翌週にずれます。
田中: 40ずれるのか。それだと先方に一回言っといたほうがいいね。
佐藤: 分割納品で了解もらえるか、明日聞いてみます。
田中: お願いします。あと、検査の担当が来週から一人減るって話、あれどうなった?
鈴木: あ、それは、9月18日から産休に入られるので、それまでに引き継ぎです。
田中: 引き継ぎ資料は?
鈴木: まだ作ってないです。今週中に作ります。
田中: じゃあ金曜までにお願いします。あとは……あ、来月の展示会の申込、あれ締切いつだっけ。
佐藤: 確か9月30日だったと思います。ちょっと確認します。
田中: うん、確認して。じゃあ今日はこんなところで。
鈴木: あ、すみません、一点だけ。材料の値上げの話、来月から3%上がるって連絡が来てます。
田中: 3%か。それは見積もりに反映しないとまずいね。次回に持ち越しで。

実際に出てきた結果

決定事項

  • A社の追加分は分割納品を打診する(月内280個・残り40個は翌週)
  • 検査担当の引き継ぎ資料を今週金曜までに作成する
  • 材料費の3%値上げは次回会議に持ち越す

ToDo

誰が何をいつまで
佐藤A社へ分割納品の可否を確認明日
佐藤展示会の申込締切を確認期日の発言なし
鈴木検査業務の引き継ぎ資料を作成今週金曜

未確定・要確認

  • A社の納期10月14日は「確定ではない」と発言あり
  • 展示会の申込締切「9月30日」は発言者自身が「確か」と留保
  • 材料費3%の適用開始は「来月から」で、具体的な日付は出ていない

数字

  • 数量 200個 → 320個
  • 月内生産 280個/残り40個は翌週
  • 産休開始 9月18日
  • 値上げ 3%

では、同じ文字起こしを「要約して」だけで投げるとどうなるか。実際に流したので、次に並べます。

「要約して」だけで投げた結果(同じ文字起こし)

同じ架空データに、プロンプトは「要約して」の4文字だけを付けて投げました。返ってきたのがこれです(実際の出力から、議題ごとの見出しと末尾だけを引きます)。

1. A社 追加発注(数量増)

  • 数量が200個→320個に増加(先方連絡)
  • 納期は「10月14日」との話だが未確定(佐藤が確認中) (中略)

3. 展示会の申込

  • 締切は9月30日(おそらく)→ 佐藤が確認

ToDo

担当内容期限
佐藤A社に分割納品の可否を確認明日
佐藤展示会の申込締切を確認ー
鈴木検査業務の引き継ぎ資料作成今週金曜
全員材料3%値上げの見積もり反映次回会議

未確定事項:A社の納期(10/14は仮)、展示会締切日、値上げの影響額

正直に書きます。この記事を書き始めたときの私の予想は外れました。「留保が消える」と思っていたのですが、消えていません。「10月14日は未確定」も「9月30日(おそらく)」も残っていますし、末尾に未確定事項の行まで自分で作っています。ここは素直に、思ったより賢い。

落ちたのは3つのうち1つだけでした。材料費3%について「来月から」としか言われておらず具体的な適用開始日が出ていないこと——これは要約側では「来月から3%値上げ」と書かれて終わり、日付が未定だという情報が消えています。

本当の問題は、消えたほうではなく増えたほう

太字にした2か所を見てください。どちらも文字起こしに存在しません。

出力にあるもの文字起こしでの実際
ToDo「全員 / 材料3%値上げの見積もり反映 / 次回会議」田中の発言は「見積もりに反映しないとまずいね。次回に持ち越しで」だけ。担当者は決まっていないし、誰も引き受けていない
未確定事項「値上げの影響額」影響額の話は一度も出ていない。もっともらしいが、会議に無かった論点

議事録で怖いのは、消えることより、無かったことが載ることです。 消えたものは誰かが「あれ書いてないよ」と気づけますが、もっともらしく足されたものは、次の会議で「決まっていたこと」として扱われます。 担当が「全員」のToDoは、実務ではまず誰もやりません。

4点指定の効きどころはここでした。「文字起こしに無いことを補わない」「期日が言われていない項目に期日を作らない」の2行が、上の2つを止めています(4点指定版のToDoでは、締切が言われていない項目は素直に「期日の発言なし」になっています)。加えて「未確定・要確認」を独立した見出しにしたことで、要約側で落ちた材料費の適用開始日も拾えました。

予想と違ったので、記事の結論のほうを実測に合わせて書き直しました。やってみないと分からないことでした。

うまくいかないときの直し方

症状原因直し方
言われていない期日が入る出力の形に「期日」欄があるので、AIが埋めようとする禁止に「期日が言われていない項目に期日を作らない」を入れる。上のプロンプトには入れてある
決定事項が多すぎる検討中の発言まで決定として拾っている「決定事項は、誰かが『そうしよう』と言ったものだけ」と定義を足す
雑談が混ざる文字起こしをそのまま渡すと拾われることがある「議題に関係しない発言は出力しない」を禁止に足す
途中で切れる文字起こしが長い議題ごとに分けて渡し、最後に4つの見出しだけを統合させる
話者が入れ替わる文字起こし側で話者の識別を間違えているここはAIでは直せません。 元の文字起こしを直す

この作業をAIに任せてよい範囲(当社の判定)

工程AIに任せてよいか人が確認する場所
言い直し・雑談の除去◯ 任せてよい—
決定事項の抽出◯ 任せてよい「検討中」を決定にしていないか
ToDoの担当者△ 下書きまで主語が合っているか(誰がやるかを取り違えると誰も動かない)
期日△ 下書きまで言われていない期日が入っていないか
金額・数量× 任せない元の音声か発言者に当てる(文字起こしの誤りはそのまま通る)
社外に出す議事録の最終確認× 任せない必ず人が読む

分かれ目は「文字起こしが間違っていたときに、AIが気づけるかどうか」です。 主語・期日・数字の3つは、聞き間違いがそのまま結論になります。AIは音声を聞き直せないので、ここだけは人が戻る必要があります。逆に言うと、戻る場所が3つだと分かっていれば、確認は数分で終わります。

毎週の会議で回すなら、プロンプトを固定する

1回うまくいったプロンプトは、テキストファイルに保存して使い回してください。 毎回書き直すと出力の形が変わり、前回と比べられなくなります。議題の型が決まっている会議なら、見出しに議題名をそのまま入れてしまうと抜けが目で分かります。

自社で回すのが大変なとき

会議が複数あって、毎回だれかが貼り付けている状態になったら、それは手順ではなく仕組みの問題です。頼む先を比べるならAI顧問サービスおすすめ7選にまとめました。顧問料の中に「手を動かす作業」が入るかどうかで中身が二つに割れるので、そこを先に見てください。作るものが既に決まっているならAI開発会社おすすめ(中小企業向け)のほうが近いです。

手順の前に、自社がどこで詰まっているかを見ておく

議事録は入口としては良いのですが、そこが一番時間を食っている作業とは限りません。

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出典

  • 生成AIの社内ルールの作り方(当社記事)
  • 業務で使えるプロンプトの書き方(当社記事)
  • 本文の入力例・出力例は当社が架空データで実行したものです(実行日 2026年9月10日・実行環境 Claude)。「要約して」だけの版と4点指定の版を、同じ文字起こしで別々に1回ずつ実行し、その出力を載せています(どちらも1回の実行結果で、複数回試した平均ではありません)

よくある質問

文字起こしはどうやって用意しますか?
会議アプリの文字起こし機能、スマートフォンの録音アプリ、専用の議事録AIなど、社内で既に使えるものを使ってください。この記事の手順は文字起こしができたところから始まります。なお録音には参加者の同意が要ります(黙って録らない)。
「要約して」だけではだめですか?
読みやすい議事録は出ます。当社が同じ架空データで両方を実行して比べたところ、留保は消えませんでした(「10月14日は未確定」「締切は9月30日(おそらく)」は要約側にも残った)。問題は逆で、会議で誰も言っていないことが足されました——担当者が「全員」のToDoと、「値上げの影響額」という未確定事項です。議事録で怖いのは、消えることより、無かったことが載ることです。だから4点指定の「禁止」に、文字起こしに無いことを補わない・言われていない期日を作らない、を必ず入れてください。
数字や日付は信用できますか?
文字起こしの時点で間違っていれば、そのまま通ります。AIは音声を聞き直せないので、金額・数量・期日は元の音声か発言者への確認で裏を取ってください。この記事の判定表では、そこを「人が必ず見る場所」に入れています。
顧客名や単価が入った会議も渡していいですか?
先に社内のルールを決めてからにしてください。どの情報をどのツールに入れてよいかは、契約しているプランやデータの扱いによって変わります。決め方は「生成AIの社内ルールの作り方」の記事に書きました。決まっていないうちは、固有名詞を伏せ字にしてから渡す運用が無難です。
ChatGPT以外でも同じ手順で使えますか?
使えます。この手順はツールに依存しません。やっていることは「文字起こしを渡す」「出力の形を指定する」「出た結果を3か所だけ検算する」の3つだけなので、Claude・Geminiなど他の生成AIでも同じように動きます。この記事の実行例も、当社が普段使っている環境(Claude)で実際に流したものです。

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