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補助金発注のコツ制度の使い方

【落とし穴】最低賃金1,177円、補助金で手を打てるのは11月9日から

2026年9月4日、中小企業庁が最低賃金引上げへの支援策を公表しました。全国加重平均は1,177円、引上げ幅は過去2番目です。ただ、支援策の柱である省力化投資の補助金は「交付決定より前の発注は対象外」。人件費が上がる時期と、補助金で手を打てる時期には数か月のズレがあります。公式の日付だけで逆算しました。

佐野 泰規佐野 泰規株式会社AIエージェント 代表取締役約7分で読めます
白い机に置かれた電卓と黒いファイル、眼鏡。人件費の増分を試算する場面のイメージ
Pexels / Jakub Zerdzicki

この記事でわかること

  • 2026年9月4日、中小企業庁が最低賃金引上げに対応する支援策を公表。9月3日にすべての都道府県の地方最低賃金審議会で取りまとめられ、全国加重平均は1,177円。引上げ幅は過去2番目
  • 支援の柱は「省力化投資促進プラン」で、省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金が名指しされている。賃上げを行う事業者には各種補助金の補助上限の引上げと加点措置も継続
  • ただし補助金は交付決定より前の契約・発注・支払いを対象にしない。デジタル化・AI導入補助金2026の次の入口は9月29日(火)17:00の5次締切で、交付決定は11月9日(月)(予定)
  • 人件費が上がる時期と、補助金で手を打てる時期はそろわない。その間をどう埋めるかは補助金では解けないので、先に決めておく必要がある

2026年9月4日、中小企業庁が最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表しました。前日の9月3日にすべての都道府県の地方最低賃金審議会で取りまとめが終わり、全国加重平均は1,177円です。

支援策には省力化投資の補助金がきちんと入っています。ただ、日付を並べると気づくことがあります。人件費が上がる時期と、その補助金で手を打てる時期がそろっていません。

最低賃金1,177円と、省力化の補助金に書かれていること

まず公表文の一次情報を引きます。

9月3日(木曜日)に、今年度の最低賃金について、すべての都道府県の地方最低賃金審議会で取りまとめられました。全国加重平均については、1,177円となりました。

また、省力化ナビや生産性向上支援サポーター制度等の全国的なサポート体制を整備するとともに、省力化投資補助金やデジタル化・AI導入補助金で支援を行い、「省力化投資促進プラン」を推進します。

——最低賃金引上げに対応する中小企業・小規模事業者への支援策を公表します|経済産業省(2026年9月4日公表・2026年9月5日閲覧)

同じ文書には、賃上げを行う事業者に対して各種補助金の補助上限の引上げや加点措置を引き続き実施すること、今年度末までに100万件のプッシュ型アプローチによる伴走支援・相談対応を目指すことも書かれています。中小企業庁は引上げ幅について「過去2番目の幅」としています。

都道府県ごとの改定額と発効予定日は、厚生労働省がすでに公表しています。 9月3日の報道発表は「改定額及び発効予定年月日は別紙のとおりです」とし、各労働局長の決定を経て「令和8年10月1日から令和8年12月2日までの間に順次発効される予定」と書いています。別紙では、10月1日に発効予定なのは15都道県(北海道・宮城・栃木・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・富山・岐阜・愛知・三重・大阪・兵庫・香川)で、東京は1,280円です。発効日は異議の申出の状況などで変わる可能性がある、と注記されています。自社の都道府県の発効予定日から、人件費が上がる月を先に置いてください。

「補助金がある」と「補助金で発注できる」は違う

ここからが本題です。デジタル化・AI導入補助金2026の公式スケジュールを見ます。

デジタル化・AI導入補助金2026(5次)
交付申請の締切2026年9月29日(火)17:00
交付決定日2026年11月9日(月)(予定)
事業実施期間の終わり2027年4月30日(金)17:00(予定)
事業実績報告期限2027年4月30日(金)17:00(予定)

通常枠・インボイス枠(インボイス対応類型/電子取引類型)・セキュリティ対策推進枠が同じ日程です。複数者連携デジタル化・AI導入枠だけは別で、3次締切が2026年10月30日(金)17:00となっています。

そして補助金は、交付決定より前の契約・発注・支払いを対象にしません。 つまり5次で申請した会社が実際に発注できるのは、11月9日の交付決定を受けたあとです。ただし、スマートレジの導入やPOSレジの改修などは例外として、事務局が9月15日以降の事前着手を認める「事前着手制度」を告知しています(申請受付は2027年1月頃の予定)。

発効予定日は都道府県ごとに10月1日から12月2日まで分かれますが、審議会の取りまとめが終わった9月3日から、交付決定日の11月9日までは67日あります。金額が事実上決まった日から数えて、補助金で省力化に着手できるようになるまで2か月以上。しかも6次締切分は日付が入っておらず、公式ページは「確定している募集回のスケジュールのみ公表しております」と注記しています。「次を待つ」を選ぶと、待つ期間が何日なのか自分では計算できません。

この計算の詳しい前提は、デジタル化・AI導入補助金、「次を待つ」が損になる期限にまとめてあります。

埋まらない期間をどうするか、3つに分けて考える

補助金は「投資の一部を後から返してもらう仕組み」であって、いま増える人件費を止める仕組みではありません。そこで、私なら次の3つに分けて考えます。

  1. 補助金を待つもの … 金額が大きく、要件を固めるのに時間がかかるもの(基幹システムの入れ替え、複数部署にまたがる自動化)。9月29日に申請して11月中旬から動く前提で、いま要件定義だけ進める。
  2. 待たずにやるもの … 補助対象になりにくい、あるいは金額が小さくて補助を待つほうが損なもの。判断の基準は「その業務を2か月放置したときの人件費の増分」で、これは自社の勤務時間と時給から出せます。増分が数十万円を超えるなら、補助を待つ2か月のほうが高くつきます。
  3. そもそも投資しないもの … 既存ツールの設定や運用の見直しで済むもの。ここに補助金を当てにいくと、要件を無理に膨らませることになります。

もう一方の選択肢も、同じ公表文に書かれています。価格転嫁です。中小企業庁は2026年1月施行の中小受託取引適正化法(取適法)と中小受託取引振興法を着実に執行し、官公需や取適法対象外の民間取引を含めて価格転嫁・取引適正化を強化するとしています。人件費の増分を自社で全部かぶるのか、価格に反映するのか。省力化投資と価格転嫁は、どちらか一方ではなく両方の帳尻で決まります。

取適法が発注する側の中小企業にも及ぶ範囲は、システム開発の外注、下請法は「発注する中小企業」も縛るで条文から整理しています。

補助金の要否を決める前に、金額の当たりを付けておく

上の2番の判断には、「その仕組みを作るといくらか」という数字が要ります。ここが分からないまま補助金の公募要領を読み始めると、要件のほうから逆算してしまいます。

  • AI見積もり … 作りたいものを書くと、SIerの相場と当社の金額を約3分で出します。補助金を待つか待たないかの比較に使えます。
  • AI適合度診断 … 10問で自社のAI適合度を点数にします。連絡先の入力は要りません。
  • 何をどこまで外に出すかから決めたい場合は、AI受託開発のページに進め方と費用感をまとめてあります。

出典

よくある質問

2026年度の最低賃金はいくらになりましたか?
中小企業庁の2026年9月4日の公表によれば、9月3日(木)にすべての都道府県の地方最低賃金審議会で取りまとめられ、全国加重平均は1,177円となりました。同庁は引上げ幅が過去2番目の幅であるとしています。なお都道府県ごとの改定額と発効予定日は、厚生労働省が9月3日の報道発表の別紙で公表しています。発効は2026年10月1日から12月2日までの間に順次の予定で、10月1日に発効予定なのは東京・大阪・愛知など15都道県です。
最低賃金が上がったら、すぐ補助金が使えるのですか?
すぐには使えません。デジタル化・AI導入補助金2026の場合、次の入口は2026年9月29日(火)17:00の5次締切で、交付決定日は2026年11月9日(月)が予定されています。契約・発注・支払いはすべて交付決定日以降に行う必要があるため、実際に動けるのは11月中旬以降です。
中小企業庁はどの補助金を名指ししていますか?
2026年9月4日の公表文では、販路開拓等の支援として持続化補助金等、税制として中小企業向け賃上げ促進税制、そして「省力化投資促進プラン」の推進として省力化投資補助金とデジタル化・AI導入補助金が挙げられています。あわせて省力化ナビと生産性向上支援サポーター制度が全国的なサポート体制として示されています。
賃上げをすると補助金で有利になりますか?
公表文には「各種補助金について、最低賃金の引上げを含めた賃上げを行う中小企業・小規模事業者に対する補助上限の引上げや加点措置を引き続き実施します」と書かれています。ただし具体的な上限額や加点の内容は補助金ごとに公募要領で決まるため、狙う補助金の最新の公募要領で必ず確認してください。
取引価格の話は関係ありますか?
関係します。同じ公表文は、2026年1月に施行された中小受託取引適正化法(取適法)と中小受託取引振興法を着実に執行し、官公需や取適法対象外の民間取引を含めた価格転嫁・取引適正化を強化するとしています。人件費の増分を自社で全部かぶるのか、価格に反映するのかは、省力化投資と並ぶもう一方の選択肢です。
補助金が間に合わない分はどうすればいいですか?
補助金の対象にならない範囲で先に着手するか、11月中旬以降に動く前提で今のうちに要件を固めておくかの二択になります。判断の材料になるのは「その業務を1か月放置したときの人件費の増分」で、これは自社の勤務時間と時給から計算できます。金額の当たりを付けてから、どちらが得かを決めてください。

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