AIエージェントとRPAの違い|決めた手順は10通中6通で止まった
AIエージェントとRPAの違いを、同じ注文メール10通の転記で試しました。様式どおりに文字を拾う手順(RPAの代わりのスクリプト)は、書き方が違う6通で止まりました。AIは10通とも読めましたが、自分から「要確認」を出したのは2回の実行で1通だけです。どちらで作るかの判断表と、人が止める場所を書きます。

注文メールを読んで、品番・数量・納期を表に書き写す。この仕事をRPAに任せるか、AIエージェントに任せるかは、作る前に決めておく必要があります。
同じ架空の注文メール10通を、両方のやり方で読み取らせてみました。決めた手順は、書き方が違う6通で止まりました。AIは10通とも読めました。 ただ、読めたことより大事な違いが1つありました。止まるか、止まらないかです。
AIエージェントとRPAの違い|止まる場所が逆になる
総務省は、RPAを「これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウエアのロボットにより自動化するもの」と説明しています。決めた手順を、決めたとおりに繰り返す仕組みです。
AIエージェントは、文章の意味を読んで、次に何をするかを判断しながら進みます。様式が揺れても処理できる代わりに、読み違えても止まらないことがあります。
準備|試すのは架空のメールだけ
本物の注文メールや取引先名は使いません。どの情報を外部のAIに入れてよいかは生成AIの社内ルールの作り方にまとめました。
架空の注文メールを10通用意しました。
- 決まった様式(4通)……
品番: BR-100数量: 20納期: 2026/10/15の3行 - ラベル違い(3通)……「型番:」「個数:」を使う、1行に詰める、など
- 自由な文章(3通)……「先日と同じブラケットを今回は50個、10月末までに」のような文面。1通は2品目、1通は納期が「至急」だけ
作る手順|同じメールを2つのやり方で読む
手順1 決めた手順で読む(RPAの代わり)
手元にRPAの製品は使わず、RPAと同じ考え方で「決まった様式の文字だけを拾う」短いスクリプトを書きました。品番: 数量: 納期: の3行がそろったメールだけを読み、そろっていなければ何も返さずに止まります。
結果は、決まった様式の4通だけ読めて、残りの6通は止まりました。
手順2 AIで読む
同じ10通を、OpenAI の API(GPT-6 Sol)に渡しました。指示は次のとおりです。
次の注文メールから 品番・数量・納期 を抜き出し、JSONだけを返してください。
キーは items(品番, 数量)と 納期(YYYY-MM-DD。書かれていなければ null)と
要確認(読み取りに自信が無い点があれば理由、無ければ null)。
10通とも、正解と同じ値が返りました。 2品目のメールは2行に分け、「至急」だけのメールは納期を null にしています。
手順3 同じことを2回やる
AIの結果は毎回同じとは限らないので、同じ10通をもう1回読ませました。値は2回とも10通すべて同じでした。違ったのは「要確認」の欄です。
1回目 要確認:10通とも null
2回目 要確認:No.9 のみ「納期が「至急」とのみ記載されて…」
「10月末までに」は2回とも10月31日と読み、どちらの回も要確認を出していません。
人が止める場所|止める条件をAIの外に書く
決めた手順は、読めないと止まります。止まったメールは、人が見るしかありません。 AIは読めてしまうので、止まりません。しかも「要確認」を自分から出すかどうかは、回によって変わりました。
だから私なら、AIの出力の後ろに、AIではない決まりを置きます。
- 納期が null のとき……人へ回す(今回の「至急」)
- 「末」「頃」「まで」を日付に直したとき……元の文面と並べて人が見る
- 品目が2つ以上のとき……数量の対応を人が確かめる
送る前や、基幹システムに書き込む前の止め方はAIエージェントの暴走を止める方法に書きました。
うまくいかないときの直し方
- RPAが頻繁に止まる……取引先ごとに様式が違う。様式をそろえてもらうか、止まった分だけをAIに回す
- AIの読み取りが揺れる……同じメールを2回読ませて、値が違ったものを人に回す
- AIの要確認に頼ってしまう……要確認は参考にとどめ、上の3つの決まりで機械的に止める
判定表|RPAとAIエージェント、どちらで作るか
| 仕事の条件 | 向いているもの | 人が確認する場所 |
|---|---|---|
| 入ってくる様式が決まっている | RPA(決めた手順) | 止まった分だけ |
| 取引先ごとに様式が違う | AIエージェント | 空欄・解釈した値 |
| 自由な文章が混ざる | AIエージェント | 空欄・解釈した値・複数品目 |
| 様式は決まっているが、ときどき崩れる | RPA+止まった分をAIへ | AIが読んだ分すべて |
| 金額や発注を確定させる | どちらでも任せない | 最終の承認は人 |
どの業務から任せるかの線の引き方は、AIエージェントに任せる業務の決め方に書きました。
自社で作るのが大変なときの頼み先
作って動かすところまで外に頼むなら、何に料金を払うかで会社が分かれます。業務自動化の代行会社おすすめ7選で、人の作業時間・ライセンス・ロボットの本数・成果物のどれに請求が紐づくかを比べました。
様式が決まっているかを、先に仕分ける
RPAかAIエージェントかは、入ってくる書類の揺れ方で決まります。当社のAI適合度診断は10問で、経営・活用・人材・データ・ルールの5分野から自社の現在地を点数にします。連絡先の入力は要りません。 注文メールの転記をAIエージェントに任せる場合の費用の目安は、AI見積もりで先に確かめられます。
出典
- RPA(働き方改革:業務自動化による生産性向上)|総務省(2026年9月27日閲覧)
- 入出力例は、当社の環境で架空の注文メール10通を、様式どおりに文字を拾うスクリプトと OpenAI の Responses API(gpt-6-sol)で2回ずつ読み取った結果(2026年9月27日)
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