ChatGPTで求人票を作る手順|明示事項が5つ抜けました
架空の求人条件でAIに求人票を作らせ、厚生労働省のリーフレットが挙げる明示事項と1対1で照合しました。読みやすい求人票はできましたが、明示事項が5つ抜け、2つが不十分でした。抜けた5つのうち4つは、2024年4月に追加された3項目に当たる欄です。照合させる手順と、AIに埋めさせてはいけない項目の判定表をまとめました。

この記事でわかること
- 架空の条件でAIに求人票を作らせ、厚生労働省のリーフレットの項目表と1対1で照合した。明示事項が5つ抜け、2つが不十分だった
- 抜けた5つのうち4つが、2024年4月に追加された3項目に当たる欄(業務内容の変更の範囲/就業場所の変更の範囲/契約更新の基準と上限=表では2行)。新しい要件ほど落ちる
- 不十分だったのは「社会保険完備」と「休憩60分」。リーフレットの記載例は「雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険」と「12:00〜13:00」で、言葉があっても明示になっていない
- 項目表を貼れば埋まる。ただし「変更の範囲」はAIに埋めさせない——あれは会社の人事権の宣言なので、空欄で返させるのが正しい
架空の求人条件でAIに求人票を作らせ、厚生労働省のリーフレットが挙げる明示事項と1対1で照合しました。
読みやすい求人票はできました。ただし明示事項が5つ抜け、2つが不十分でした。しかも抜けた5つのうち4つは、2024年4月に追加された3項目に当たる欄です(更新の基準と更新上限は、表では2行に分かれています)。
この作業の正解リストは法令の側にあります。 だからAIに考えさせず、表をこちらから渡します(実行環境はClaudeですが、手順はツールに依存しません)。
ChatGPTで求人票を作る手順は3つに分かれる
- 厚生労働省の項目表を手元に用意する(ここを飛ばさない)
- 表を貼って「全項目を埋める・推測で埋めない」と指定する
- 「変更の範囲」と更新の基準は人が埋める
減らせるのは抜け漏れの確認と文章化で、人事権の範囲を決める仕事は減りません。
渡す前に決めること
求人票そのものに個人情報は入りませんが、社内の人員計画や未公表の組織変更が混ざることがあります。線引きが決まっていない会社は生成AIの社内ルールの作り方を先に読んでください。この記事の条件も架空です。
使った条件と、照合する項目表
架空の求人(一般事務・契約社員)です。
会社名:株式会社サンプル物産(架空)
職種:一般事務/雇用形態:契約社員
契約期間:2026年11月1日〜2027年3月31日
勤務地:東京本社
勤務時間:9:00〜18:00(休憩12:00〜13:00)
休日:土日祝、年末年始
賃金:月給22万円/時間外労働:月平均10時間/試用期間:3か月
照合に使ったのは厚生労働省のリーフレットの項目表です。業務内容と就業場所には「雇入れ直後」と「変更の範囲」の2欄があるのがポイントで、後者が2024年4月に追加された欄です。
「この条件で求人票を作って」だけで投げた結果
【一般事務】未経験歓迎!土日祝休みでワークライフバランス◎
■仕事内容
データ入力、書類作成、電話・来客対応など、オフィスワーク全般をお任せします。
■募集要項
雇用形態:契約社員
契約期間:2026年11月1日〜2027年3月31日
勤務地:株式会社サンプル物産 東京本社
勤務時間:9:00〜18:00(休憩60分)
休日休暇:土日祝、年末年始
給与:月給220,000円/残業:月平均10時間程度/試用期間:3か月
待遇:社会保険完備、交通費支給
項目表と突き合わせると、抜けたのは5つです。
- 業務内容の「変更の範囲」(2024年4月追加)
- 就業場所の「変更の範囲」(同)
- 契約の更新の有無と判断基準(同)
- 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限。同)
- 受動喫煙防止措置
不十分だったのが2つ。「待遇:社会保険完備」は、リーフレットの記載例が「雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険」なので、どの保険かを示していません。「休憩60分」も記載例は「12:00〜13:00」で、条件として渡した時間帯が出力で消えていました。
私が重いと思うのは、抜けた5つのうち4つが2024年4月以降の要件だったことです。 理由は断定できませんが、一般的な求人広告の見た目にこれらの欄が無いことは確かです。AIは読みやすい求人票の形に寄せるので、見た目に無い欄は出てきません。
項目表を貼ると埋まる。ただし埋めさせない欄がある
同じ条件に、項目表と規則を足して投げ直します。
あなたは求人票の作成担当です。
入力:求人の条件(下記)と、明示事項の項目表(下記)
出力:項目表の全項目を1行ずつ並べた表。列は | 項目 | 記載内容 |
規則:
1. 項目表の項目を1つも省かない。順番も変えない
2. 業務内容と就業場所は「雇入れ直後」と「変更の範囲」を分けて2行にする
3. 渡していない情報は「要記入」と書く。推測で埋めない
4. 「変更の範囲」「契約の更新の基準」「更新上限」は、渡されていても必ず「要記入」にする
禁止:キャッチコピーを付けない。条件を言い換えない(休憩は時間帯のまま書く)
全項目が並び、抜けた5つが「要記入」で返ってきました。「社会保険完備」も加入保険:要記入に変わり、休憩は12:00〜13:00のまま残りました。
規則4を入れたのが今回の要点です。 これを書かないと、AIは空欄を嫌って「変更の範囲:当社業務全般」「全国の支社」のような広い範囲を書きます。「変更の範囲」は将来の配置転換の見込みまで含む欄なので、ここに書いた範囲がそのまま会社の人事権の宣言になります。 決めるのは人事と経営で、空欄で返させるのが正しい場面です。
うまくいかないときの直し方
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 新しい要件だけ抜ける | 一般的な求人広告の見た目に欄が無い | 項目表をこちらから貼る(AIに思い出させない) |
| 「社会保険完備」で終わる | 求人広告の定型に寄せている | 記載例と同じ粒度を指定する(保険名を列挙) |
| 渡した条件が言い換えられる | 読みやすさを優先している | 「条件を言い換えない」を禁止に入れる |
| 変更の範囲を勝手に広く書く | 空欄を埋めようとする | 該当欄は「渡されていても要記入」と指定する |
| キャッチコピーが主役になる | 求人票ではなく広告として作っている | 出力を表だけに限定する |
この作業でAIに任せてよい範囲
| 作業 | 任せてよいか | 人が確認する場所 |
|---|---|---|
| 項目表との抜け漏れ照合 | ◯ | 項目表と1対1で並んでいるか |
| 仕事内容の文章化 | ◯ | 実際の業務と合っているか |
| 加入保険の書き方 | △ | 保険名が列挙されているか |
| 業務内容・就業場所の「変更の範囲」 | ✕ | 人事権の範囲なので会社が決める |
| 契約更新の基準・更新上限 | ✕ | 経営判断。抽象的な表現にしない |
| 賃金の書き方(固定残業代の内訳など) | ✕ | 書き方に決まりがある。労務に確認 |
| 掲載してよいかの最終判断 | ✕ | 労務担当か社会保険労務士 |
✕に共通するのは、条件の中に答えが無いことです。 「変更の範囲」は会社がこれから決める話で、過去の求人票にも答えはありません。当社は社会保険労務士事務所ではないので、この手順で作れるのは下書きまでです。
自社でやるのが大変なときの頼み先
求人票1本ならこの手順で足ります。大変になるのは募集が常時あって職種ごとに条件が違うときと、採用管理システムと繋いで出し分けたいときです。仕組みの話になったらAI導入支援の会社おすすめ比較で頼む先を比べてください。人に任せるか仕組みにするかの分かれ目は業務自動化の代行会社おすすめ7選に整理しました。
手を付ける前に、去年の求人票を1枚出してみる
去年の求人票を1枚持ってきて、項目表と突き合わせてください。2024年4月より前の型を使い回していると、同じ3項目が抜けたまま出ている可能性があります。
出典
- 厚生労働省「募集時などに明示すべき労働条件が追加されます」(
LL050628 需02・PDF・2026年9月16日閲覧)——項目表と記載例、2024年4月1日施行の改正職業安定法施行規則で追加された3項目 - 厚生労働省「2024年4月から労働条件明示のルールが変わります」(2026年9月16日閲覧)
本記事の入出力は、架空の求人条件を当社が実際にAIへ渡して得たものです(実行日 2026年9月16日・実行環境 Claude)。
よくある質問
- 求人票に書かなければならない項目はどこで確認できますか?
- 厚生労働省のリーフレットに項目表があります(末尾の出典)。業務内容/契約期間/契約の更新/更新上限/試用期間/就業場所/就業時間/休憩時間/休日/時間外労働/賃金/加入保険/受動喫煙防止措置/募集者の氏名または名称が並び、業務内容と就業場所には「雇入れ直後」と「変更の範囲」の2欄があります。この表をそのままAIに貼るのが、この記事の手順の中心です。
- なぜ2024年4月に追加された項目ばかり抜けるのですか?
- 実測ではそうなりましたが、理由を断定はできません。確かなのは、追加された3つ(業務内容の変更の範囲・就業場所の変更の範囲・有期契約を更新する場合の基準)が、一般的な求人広告の見た目には入っていないことです。AIは読みやすい求人票の形に寄せるので、見た目に無い欄は出てきません。だから項目表を渡す側が持つ必要があります。
- 「社会保険完備」と書けば加入保険の明示になりますか?
- リーフレットの記載例は「雇用保険、労災保険、厚生年金、健康保険」です。「社会保険完備」はどの保険に加入するのかを示していないので、言葉はあっても中身が無い状態になります。同じことが休憩時間でも起きました(「休憩60分」ではなく「12:00〜13:00」が記載例)。書いてあるかどうかではなく、記載例と同じ粒度かで見てください。
- 「変更の範囲」はAIに埋めさせてはいけないのですか?
- 埋めさせないほうがよいと考えています。「変更の範囲」は将来の配置転換の見込みまで含む欄で、ここに書いた範囲が会社の人事権の宣言になります。AIは空欄を嫌って「当社業務全般」「全国の支社」のような広い範囲を書きがちですが、それを決めるのは人事と経営です。AIには空欄(要記入)で返させ、人が埋めてください。
- 作った求人票はそのまま掲載できますか?
- できません。この手順で作れるのは、明示事項が揃っているかを機械的に確かめた下書きまでです。固定残業代の内訳や裁量労働制の記載など、書き方に決まりがある項目もあります。掲載前に社内の労務担当か社会保険労務士に見せてください。当社は社会保険労務士事務所ではありません。
自社の場合、いくら?
作りたいものを入力するだけで、AIが約3分で概算見積もりを作成します。一般的なSIer相場との比較つき、無料・営業からのしつこい連絡はありません。
AIで概算見積もり(無料) →先に費用の目安を知りたい方は用途別の費用相場へ。