【令和9年度】人材開発支援助成金の拡充分、条件は訓練後の賃上げでした
厚生労働省が2026年8月31日にサイトへ掲載した令和9年度概算要求で、人材開発支援助成金(訓練実施コース)は596億円(前年度当初533億円)が要求されています。拡充として挙がっているのは2点で、どちらも「訓練終了後に賃上げした場合」が条件です。資料の原文を読んで、来年度に向けて何を決めておく必要があるかを整理しました。

この記事でわかること
- 令和9年度概算要求で596億円(前年度当初予算額533億円)。厚労省の資料上の名称は「人材開発支援助成金(訓練実施コース)」で、拡充の枠が付いている
- 拡充として挙がっているのは2点で、どちらも「訓練終了後に賃上げした場合」が条件。①賃上げした場合に経費助成及び賃金助成額を引き上げ ②事業展開に資する訓練+賃上げで機器・設備等の導入費用の一部を助成(中小企業のみ対象)
- 資料の枠組み自体が「賃上げ」支援助成金パッケージ。業務改善助成金・キャリアアップ助成金・産業雇用安定助成金などと同じ束で扱われており、訓練は賃上げの手段として位置づけられている
- 【必守】概算要求は決定ではない。年末の予算編成を経て決まるので、この内容で申請できると考えて計画を組まないこと
厚生労働省が2026年8月31日にサイトへ掲載した令和9年度概算要求の資料を読みました。研修に助成金を使っている会社に直接効く記載があります。
人材開発支援助成金は596億円の要求で、前年度当初予算額の533億円から増えています。 ただし増えた分の使い道が、資料にはっきり書いてありました。
拡充として挙がっている2点は、どちらも「訓練終了後に賃上げした場合」が条件です。
人材開発支援助成金の令和9年度概算要求は596億円
資料は「令和9年度概算要求における『賃上げ』支援助成金パッケージ」という1枚で、複数の助成金が同じ束にまとめられています。その中の記載がこれです。
人材開発支援助成金(訓練実施コース)【596億円(533億円)】
職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を実施した場合等に経費助成及び訓練期間中の賃金の一部等助成 ➢ ①訓練終了後に賃上げした場合に、経費助成及び賃金助成額を引き上げ、②事業展開に資する訓練を実施し、訓練終了後に賃上げした場合に、事業展開に資する機器・設備等の導入費用の一部を助成(中小企業のみ対象)
——令和9年度厚生労働省予算概算要求の主要事項(厚生労働省・同省サイトへの掲載は2026年8月31日・2026年9月4日閲覧。括弧内は前年度当初予算額。強調は筆者)
予算は533億円から596億円で、63億円の増。パッケージの見出しには「拡充」の枠が付いています。
拡充の2点は、どちらも賃上げとセットになっている
並べると構造が見えます。
| 拡充の中身 | 前提となる訓練 | 追加の条件 | 対象 |
|---|---|---|---|
| ① 経費助成・賃金助成額の引き上げ | 職務に関連した訓練 | 訓練終了後に賃上げ | 記載なし |
| ② 機器・設備等の導入費用の一部を助成 | 事業展開に資する訓練 | 訓練終了後に賃上げ | 中小企業のみ |
訓練をやるだけでは、拡充分は取れない書き方になっています。 ①は助成率や額そのものが上がる話、②は訓練とは別枠で設備の費用が出る話ですが、入口はどちらも賃上げです。
②は現行の事業展開等リスキリング支援コースにある設備投資加算と似た形をしています。ただし現行の設備投資加算は賃金要件か資格等手当要件のどちらかを満たせばよいのに対し、概算要求の書き方は賃上げが正面に出ています。同じものが移ってきたのか、別に立て直すのかは、この資料からは分かりません。
「訓練実施コース」という名前は現行に無い
資料の表記は人材開発支援助成金(訓練実施コース)です。現行の人材開発支援助成金には、人材育成支援コース、教育訓練休暇等付与コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コースがありますが、「訓練実施コース」という名前はありません。
概算要求の資料は複数のコースをまとめて簡略に書くことがあるので、これだけで「コースが統合される」とは言えません。当社が言えるのは、資料にこの名前で596億円が載っているという事実だけです。
ただ実務的に気にしておく理由はあります。人への投資促進コースは令和4年度から令和8年度までの期間限定の措置とされているので、令和9年度は何らかの形で構成が動く年になります。
資料の枠組み自体が「賃上げ」支援である
この1枚の見出しは「令和9年度概算要求における『賃上げ』支援助成金パッケージ」で、人材開発支援助成金は次の助成金と同じ束に置かれています。
- 業務改善助成金 543億円(21億円)— 事業場内最低賃金の引き上げ+設備投資
- キャリアアップ助成金(正社員化コース・賃金規定等改定コース)583億円(554億円)— 非正規雇用労働者の処遇改善
- 働き方改革推進支援助成金 101億円(101億円)
- 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)19億円(18億円)
- 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)— 出向前と比較して賃金を5%以上上昇させた場合に助成
訓練が、賃上げのための手段として並べられている。 私はこの並べ方自体が今回いちばんの情報だと読みました。研修の助成金を「人を育てる制度」として見ていると、来年度の設計を読み違える可能性があります。
【必守】概算要求は決定ではない
ここを外すと実務が狂います。概算要求は各省庁が財務省へ出す要求であって、予算そのものではありません。 金額も中身も、年末の政府予算編成を経て変わり得ます。
この内容で申請できる前提で計画を組まないでください。 現時点で確実に言えるのは「厚労省がこういう方向で要求している」ことだけです。実際の要件は、年度が変わってから公表される支給要領で確定します。
そのうえで、いま手を付けても損しないことが1つあります。賃上げの根拠を残す仕組みです。就業規則や賃金規定の改定履歴、対象者ごとの賃金の推移。現行の制度でも賃金要件は加算の条件になっていますし、複数の助成金を組み合わせるときも「同一の賃金の支出」が判定の軸になります。制度が変わっても使える形の記録なので、確定を待つ必要がありません。
制度の確定を待つあいだに、研修の中身を決めておく
来年度の要件が固まるのは年末以降です。待っているあいだにできるのは、制度に合わせることではなく、自社に必要な訓練を決めることのほうです。 どちらの拡充も「職務に関連した訓練」「事業展開に資する訓練」が前提なので、中身が決まっていないと結局あとから慌てます。
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研修そのものの内容と料金はAI研修にまとめています。公開プランは1名6万円(税別)からで、人材開発支援助成金の経費助成75%を使った場合の実質負担は1名あたり1.5万円からです(訓練10時間以上・審査があり、訓練開始前の計画届が必要です)。
出典
- 令和9年度厚生労働省予算概算要求の主要事項 — 厚生労働省。「令和9年度概算要求における『賃上げ』支援助成金パッケージ」の頁(同省サイトへの掲載は2026年8月31日・2026年9月4日閲覧)
- 令和9年度厚生労働省所管予算概算要求関係 — 厚生労働省(2026年9月4日閲覧)
金額はいずれも概算要求額で、括弧内は前年度当初予算額です。予算は年末の政府予算編成を経て決まります。申請前に必ず厚生労働省・管轄労働局の最新の情報を確認してください。
よくある質問
- 令和9年度の人材開発支援助成金はいくら要求されていますか?
- 厚生労働省「令和9年度厚生労働省予算概算要求の主要事項」の賃上げ支援助成金パッケージの資料に、人材開発支援助成金(訓練実施コース)として596億円と記載されています。括弧内の533億円は前年度当初予算額です。ただし概算要求は各省庁が財務省へ出す要求であり、実際の予算は年末の政府予算編成を経て決まります。
- 拡充の中身は何ですか?
- 資料には2点が挙げられています。①訓練終了後に賃上げした場合に、経費助成及び賃金助成額を引き上げる ②事業展開に資する訓練を実施し、訓練終了後に賃上げした場合に、事業展開に資する機器・設備等の導入費用の一部を助成する(中小企業のみ対象)。どちらも「訓練終了後に賃上げした場合」が共通の条件です。
- 「訓練実施コース」は今のどのコースにあたりますか?
- 概算要求の資料にこの名称で載っていますが、現行の人材開発支援助成金のコース名(人材育成支援コース、人への投資促進コース、事業展開等リスキリング支援コース等)にこの名前はありません。資料上の表記が簡略なのか、コース構成そのものが変わるのかは、この資料からは判断できません。当社は資料にそう書かれているという事実だけを記録しています。
- 今から準備しておくことはありますか?
- 制度の中身が確定していないので、制度に合わせた準備はできません。ただし2つの拡充がどちらも賃上げを条件にしている以上、賃上げの根拠を残す仕組み(就業規則や賃金規定の改定履歴、対象者ごとの賃金の推移)は、どの制度でも使える形で整えておいて損はありません。現行の制度でも賃金要件は加算の条件になっています。
- 令和8年度の制度は使えなくなりますか?
- 概算要求は令和9年度の話であり、令和8年度の制度が今すぐ変わるものではありません。ただし人への投資促進コースは令和4年度から令和8年度までの期間限定の措置とされているため、年度の切り替わりで扱いが変わる可能性があります。進行中の計画がある場合は、管轄の労働局に確認してください。
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