ChatGPTでメールを作成する手順|お詫び文に原因が勝手に入ります
謝罪・催促・断りの3型で、実際にAIにビジネスメールを書かせた記録です。「納品が遅れたお詫びのメールを書いて」とだけ頼むと、こちらが一度も言っていない遅延の原因と再発防止策が本文に入りました。原因はまだ調査中という設定なのに、です。曖昧な指示と4点指定の両方を流した出力を並べ、送る前に人が見る場所を判定表にしました。

この記事でわかること
- 「お詫びのメールを書いて」とだけ頼むと、言っていない原因と再発防止策が入る。実際に流したところ、原因(生産工程の遅れ)も対策(進捗管理の徹底)も本文に入った。どちらもこちらは一度も言っていない
- 理由は、お詫びメールという型に「原因」と「再発防止策」の枠があるから。枠がある以上、埋める材料が無ければ推測で埋まる。空欄で出させるには、禁止として名指しするしかない
- 指定するのは4点(役割・分かっている事実・出力の形・禁止)。禁止が効くのが3型に共通していて、催促では「新しい期日を勝手に指定しない」、断りでは「断る理由を増やさない」がそれにあたる
- 送信前に人が見るのは3か所だけ——日付・金額・番号などの事実、原因と対策、期限。ここは入力した値と1字ずつ突き合わせる
「納品が遅れたお詫びのメールを書いて」
この一行だけを渡して、実際に流してみました。出てきた文面には、こちらが一度も言っていない遅延の原因と、再発防止策が書かれていました。 設定では原因はまだ社内で調査中です。
メールの下書きは、型が決まっていて量もあるので、AIに任せた効果がいちばん見えやすい作業です。ただし事実でないものが混ざったときの損害も、いちばん大きい作業でもあります。
以下は謝罪・催促・断りの3型について、曖昧な指示と4点指定の両方を実際に流した記録です(実行環境は当社が普段使っているClaudeですが、手順はツールに依存しません)。
渡す前に決めること
メールの下書きには、たいていそのまま外に出せない情報が入ります。取引先の社名、金額、請求書番号、担当者名。
「入れてよい情報/だめな情報」を先に決めておかないと、判断が毎回その人の感覚になります。決め方は生成AIの社内ルールの作り方に書きました。まだ決まっていない会社は、社名を伏せ字(A社)に置き換え、金額を丸めてから渡す運用にしておけば、少なくとも事故は起きません。
この記事の実行例も、架空の会社・架空の取引で作ったデータを使っています。
まず、曖昧に頼んだ結果
投げたのは次の一行だけです。
納品が遅れたお詫びのメールを書いて
出てきた本文(抜粋)
このたびは、弊社の納品が予定より遅れ、多大なるご迷惑を
おかけいたしましたことを、深くお詫び申し上げます。
今回の遅延は、弊社工場における生産工程の遅れによるものでございます。
再発防止策といたしまして、進捗管理を徹底し、
納期の事前確認フローを見直してまいります。
渡していないのに入ったものが2つあります。「工場における生産工程の遅れ」という原因と、「進捗管理を徹底し、納期の事前確認フローを見直す」という対策です。
お詫びメールという型に、原因と再発防止策の枠が最初から入っているからです。枠がある以上、材料が無ければ推測で埋まります。空欄のまま出させるには、禁止として名指しするしかありません。
4点指定で投げ直す
指定するのは役割・分かっている事実・出力の形・禁止の4点です(プロンプトの書き方と同じ型を使っています)。
あなたは製造業の営業担当です。取引先へのお詫びメールの下書きを作ってください。
分かっている事実(これ以外は書かないでください):
- 納品予定日: 9月8日
- 実際の納品日: 9月11日(3日遅れ)
- 遅れた理由: 社内で調査中。確定していない
- 宛先: 株式会社ミドリ化成 購買部 高橋様
- 差出人: 株式会社サンプル物産 佐々木
出力の形:
- 件名1行 + 本文(200〜300字)
禁止:
- 遅延の原因を書かない(調査中のため)
- 再発防止策を書かない(決まっていないため)
- 謝罪以外の要件(次回の案内・販促)を入れない
出てきた本文
件名: 9月8日納品分の遅延に関するお詫び
株式会社ミドリ化成
購買部 高橋様
いつもお世話になっております。株式会社サンプル物産の佐々木です。
9月8日にお届けする予定でした製品につきまして、
納品が9月11日となり、3日間お待たせする結果となりました。
誠に申し訳ございません。
遅延の原因につきましては現在社内で確認を進めており、
判明し次第、改めてご報告申し上げます。
このたびはご迷惑をおかけし、重ねてお詫び申し上げます。
原因も対策も入っていません。代わりに「確認を進めており、判明し次第ご報告する」という、事実のとおりの一文が入りました。禁止を2行足しただけです。
催促と断りでも、効いたのは禁止だった
同じ4点で、残り2つの型も流しました。どちらも効いたのは禁止の行です。
催促(入金の確認)
渡した事実は、請求書番号・金額・支払期日・本日時点で入金が確認できないこと・過去に遅れたことはないことの5つ。禁止は「相手の落ち度と決めつけない」「法的措置に触れない」「新しい期日を勝手に指定しない」の3行です。
3行目が無いと、「9月18日までにお振り込みください」という、こちらが決めていない期日が入りました。禁止を足すと文面は「行き違いでお手続き済みでしたら申し訳ございません。ご状況をご確認いただけますでしょうか」で止まり、期日はこちらが決めてから足せます。
断り(見積もり依頼への回答)
渡した事実は、依頼が9月中の短納期であること・9月の生産枠が埋まっていること・10月以降なら対応できること。禁止は「断る理由を増やさない」「含みを残さない」「代替案は1つだけ」の3行です。
1行目が無いと、「社内で慎重に検討いたしましたが」「諸般の事情により」という、実際には無かった検討過程が入りました。断りの文面は体裁を整えようとするほど、やっていない社内手続きを書いてしまいます。
うまくいかないときの直し方
| 症状 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 知らない事実が入る | その文書の型に枠があり、材料が無いので埋めている | 禁止に「〜を書かない」と名指しする。「事実だけ書いて」では弱い |
| 敬語が過剰で読みにくい | 丁寧さの度合いを渡していない | 「取引が長い相手なので、定型の挨拶は1文だけ」と条件を足す |
| 相手の名前や番号が違う | 事実の欄に入れた値がそもそも違う | ここはAIでは直せません。 入力した値を見直す |
この作業をAIに任せてよい範囲(当社の判定)
| 部分 | AIに任せてよいか | 人が確認する場所 |
|---|---|---|
| 挨拶・結びの定型 | ◯ 任せてよい | — |
| 敬語・言い回しの調整 | ◯ 任せてよい | 社名・役職の表記ゆれ |
| 文章の構成・字数の調整 | ◯ 任せてよい | — |
| 日付・金額・番号・宛名 | × 任せない | 入力した値と1字ずつ突き合わせる |
| 原因・再発防止策 | × 任せない | 確定していないなら、書かれていないことを確認する |
| 期限の指定 | △ 下書きまで | こちらが決めた期日かどうか |
| 送信前の最終確認 | × 任せない | 必ず人が読む |
分かれ目は「その文が、渡した事実から出てきたものかどうか」です。 文体や構成は外から足してよいものですが、日付・原因・期限は渡した事実の中にしかありません。外から来た事実は、全部こちらの責任で送ることになります。 逆に言うと、読み返す場所が3か所だと分かっていれば、確認は数十秒で終わります。
3型ぶんのプロンプトをテキストファイルに保存しておけば、毎回書き直すのは「分かっている事実」の欄だけになります。議事録も同じ考え方で固定できます(ChatGPTで議事録を作る手順)。
自社で回すのが大変なとき
メールだけでなく、同じ形の作業が社内に何本もある状態なら、それは手順ではなく仕組みの問題です。頼む先を比べるならChatGPT導入支援の会社おすすめ8選にまとめました。「ChatGPT導入支援」という同じ言葉が4つの別商品を指しているので、自社に空いている穴がどれかを先に見てください。
手順の前に、自社がどこで詰まっているかを見ておく
メールの下書きは入口としては良いのですが、そこが一番時間を食っている作業とは限りません。
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出典
- 生成AIの社内ルールの作り方(当社記事)
- 業務で使えるプロンプトの書き方(当社記事)
- ChatGPTで議事録を作る手順(当社記事)
- 本文の入力例・出力例は当社が架空データで実行したものです(実行日 2026年9月11日・実行環境 Claude)。いずれも1回ずつの実行結果で、複数回試した平均ではありません
- ChatGPT固有の画面操作・料金・仕様は書いていません(当社の実行環境から OpenAI公式サイト を取得できず、一次情報で裏を取れなかったため)
よくある質問
- どの生成AIでも同じ手順で使えますか?
- 使えます。この手順はツールに依存しません。やっていることは「分かっている事実だけを渡す」「出力の形を指定する」「書いてほしくないことを禁止として名指しする」の3つなので、ChatGPT・Claude・Geminiのどれでも同じように動きます。この記事の実行例は、当社が普段使っている環境(Claude)で実際に流したものです。
- なぜ「原因」を書かないよう指示する必要があるのですか?
- お詫びメールという文書の型に、原因と再発防止策の枠が最初から入っているからです。枠がある以上、埋める材料が無ければ推測で埋まります。実際に流したところ、こちらが一度も言っていない「生産工程の遅れ」と「進捗管理の徹底」が入りました。調査中のことを断定で書いて送ると、後から訂正することになります。
- 取引先の社名や金額を入力してもいいですか?
- 先に社内のルールを決めてからにしてください。どの情報をどのツールに入れてよいかは、契約しているプランやデータの扱いによって変わります。決め方は「生成AIの社内ルールの作り方」の記事に書きました。決まっていないうちは、社名を伏せ字(A社)にし、金額を丸めてから渡す運用が無難です。
- 出てきた文面をそのまま送っていいですか?
- 事実の部分だけは必ず突き合わせてください。日付・金額・請求書番号・相手の担当者名は、こちらが入力した値と1字ずつ照らします。文面の型や敬語はほぼそのまま使えますが、入力していない事実が本文に増えていないかは、読めば分かるので読んでください。
- 毎回プロンプトを書くのが面倒です
- 型ごとにテキストファイルへ保存して使い回してください。謝罪・催促・断りの3つを用意しておけば、毎回書き直すのは「分かっている事実」の欄だけになります。プロンプトを固定すると出力の形も揃うので、前回と比べられるようになります。
自社の場合、いくら?
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