AIエージェントの費用の決まり方|API代は1回1セント未満でした
AIエージェントの費用を、作る費用・API代・人の確認の3つに分けて数える手順です。架空の問い合わせを3段で処理するAIエージェントを当社の環境で3回動かすと、公式の単価で計算したAPI代は3回とも1回1セント未満でした。代わりに、点検の段が3回とも「要確認」を出して人に回しています。

AIエージェントを入れるとき、多くの会社が最初に見るのは開発の見積書です。ところが動かし始めると、毎回かかる費用が2つ増えます。 APIの利用料と、人が確認する手間です。
どちらが大きいかを確かめるため、架空の問い合わせを処理するAIエージェントを当社の環境で動かし、1回ごとのトークン数を数えました。API代は3回とも1回1セント未満でした。 代わりに、点検の段が3回とも「要確認」を出して、人に回しています。
AIエージェントの費用の決まり方|作る費用と動かし続ける費用は別
費用は次の3つに分けて数えます。
- 作る費用……要件を決め、仕組みを作り、既存のシステムとつなぐ。最初に1回かかる
- API代……動かすたびに、入力と出力のトークン数に応じてかかる
- 人の確認……AIエージェントが「自分では決められない」と返したものを、人が見る手間
開発会社の見積書は、1つ目の作る費用の見積もりです。当社のAIエージェント開発も、作る費用として1本50万円〜(要件により個別見積もり)を公開しています。残りの2つは、動かす会社が自分で数える必要があります。
準備|試算は架空のダミーだけで行う
試算に本物の問い合わせや顧客名は使いません。どの情報を外部のAIに入れてよいかは生成AIの社内ルールの作り方にまとめました。
今回は、架空の部品会社のFAQ(5問)と、架空の問い合わせメール1通を用意しました。メールの中身は「標準品を5個だけ買いたい。来週水曜までに届くか。初めての取引だが請求書払いにできるか」です。FAQでは最小ロットが10個、初回取引は前払いなので、わざと答えに困る問いを混ぜています。
作る手順|1回の実行を数えて、件数を掛ける
手順1 処理を段に分けて組む
OpenAI の API(Responses API)で、次の3段を順に呼ぶ短いスクリプトを書きました。
- 分類と抽出……メールから種別・型番・数量・期限・初回取引かを JSON で抜き出す
- 返信の下書き……FAQだけを根拠に下書きを書く。FAQに無いことは「確認して折り返します」とする
- 点検……下書きをFAQと照らし、FAQに無い約束があれば1行目に「要確認」、無ければ「送信可」と書く
手順2 応答のトークン数を記録する
APIの応答には usage という欄があり、入力と出力のトークン数が入っています。GPT-6 Sol で3回動かした結果です。
| 実行 | 入力トークン | 出力トークン | 点検の判定 |
|---|---|---|---|
| 1回目 | 867 | 662 | 要確認 |
| 2回目 | 882 | 723 | 要確認 |
| 3回目 | 860 | 658 | 要確認 |
出力には、画面に出る文章のほかに推論のトークンが含まれていました。1回目の1段目は、出力106トークンのうち63が推論です。文章の長さだけで見積もると、少なく出ます。
手順3 公式の単価を掛ける
OpenAI の料金表では、GPT-6 Sol の Standard(短いコンテキスト)は100万トークンあたり入力2.00ドル・出力10.00ドルです。1回目なら次のとおりです。
入力 867 × 2.00 ÷ 1,000,000 = 0.001734 ドル
出力 662 × 10.00 ÷ 1,000,000 = 0.006620 ドル
合計 0.008354 ドル(約0.84セント)
3回の幅は0.0083〜0.0090ドルでした。同じ処理を GPT-6 Luna(入力0.10ドル・出力0.50ドル)で1回動かすと、0.00057ドルです。
手順4 月の件数を掛ける
ここから先は試算です。仮に1日30通・月20営業日で600回動かすと、3回のうち最も高かった回の数字で計算しても、GPT-6 Sol のAPI代は月およそ5.4ドルです。
同じ仮定で、要確認がすべての回に出て、1件の確認に3分かかるとすると、人の確認は月30時間です。今回は3回しか動かしていないので、要確認が出る割合は本番のメールで数え直す必要があります。それでも、API代と人の手間では、桁が違うと私は読みます。
人が止める場所|「要確認」と上限の2つ
今回の3段目は、下書きの中の「来週水曜までに届くか確認して折り返します」を、FAQに無い約束として止めました。送る前に止めるのが、この段の仕事です。 要確認が出た下書きは、人が読んでから送ります。
費用のほうは2か所で止めます。
- 1回の上限……APIの呼び出しごとに出力の上限(
max_output_tokens)を指定する。今回は下書きまでを800、点検を400にした - 月の上限……OpenAI のドキュメントには、組織やプロジェクトに設定できる使用額の上限(spend limits)があると書かれている。動かし始める前に設定しておく
送る操作そのものの止め方はAIエージェントの暴走を止める方法に、毎日の件数の残し方はAIエージェントの運用ログの残し方に書きました。
うまくいかないときの直し方
- 要確認が多すぎる……今回の要確認は、どれもFAQに答えが無い問いから出た。今回なら「最小ロット未満の注文をどうするか」をFAQに1行足す
- 試算と請求がずれる……1回動かした数字だけで見積もっている。毎回の
usageをログに残し、月の合計を実数で見る - 出力が長くなる……段ごとに上限を付け、下書きの長さを指示で決める
判定表|費用の項目ごとに、誰が数えるか
| 費用の項目 | いつかかるか | 数え方 | 人が見る場所 |
|---|---|---|---|
| 作る費用 | 最初に1回 | 見積書 | 要件と範囲 |
| API代 | 動かすたび | usage × 公式の単価 × 件数 | 月の上限を超えそうか |
| 人の確認 | 要確認が出るたび | 要確認の件数 × 1件の確認時間 | 要確認の中身 |
| 元の情報の手直し | 要確認が続いたとき | 足したFAQの行数 | 答えを決めるのは業務の担当者 |
当社は自社の業務もAIエージェントで回しています。私なら、費用はこの4行で見ます。見積書に載らない下の3行ほど、あとから効いてくると考えるからです。
自社で作るのが大変なときの頼み先
作る費用の比較は、AIエージェント開発会社おすすめ6選にまとめました。小さく頼める会社はAI開発を小規模から頼める会社7選で比べています。
動かし続ける費用まで含めて、先に見当を付ける
どの業務から任せるかで、要確認の件数も変わります。当社のAI適合度診断は10問で、経営・活用・人材・データ・ルールの5分野から自社の現在地を点数にします。連絡先の入力は要りません。 作る費用の目安は、AI見積もりで先に確かめられます。
出典
- Pricing|OpenAI API(2026年9月26日閲覧)
- Rate limits|OpenAI API(2026年9月26日閲覧)
- 入出力例とトークン数は、当社の環境で OpenAI の Responses API(gpt-6-sol・gpt-6-luna)に架空のFAQと問い合わせを渡して実行した結果(2026年9月26日)
自社の場合、いくら?
作りたいものを入力するだけで、AIが約3分で概算見積もりを作成します。一般的なSIer相場との比較つき、無料・営業からのしつこい連絡はありません。
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