AIエージェントの効果測定のやり方|10件中3件は人に戻っていた
AIエージェントの効果測定を、削れた時間を後から数えられる形にする手順です。架空の注文メール10件をAIで読み取り、止める決まりで仕分けたログを残すと、2回とも自動で完了したのは7件、人に回したのは3件でした。AIが自分から「要確認」を出したのは0件と1件で、自己申告で数えると効果を多く見積もります。

AIエージェントを入れたあと、「どれだけ時間が削れたか」を聞かれて、処理した件数に1件あたりの時間を掛けて答えたくなります。それだと、人に戻ってきた分が数に入りません。
架空の注文メール10件をAIで読み取り、止める決まりで仕分けたログを残しました。2回とも、自動で完了したのは7件、人に回したのは3件でした。 この記事では、削れた時間を後から数えられる形にするログの残し方と計算を、実際の出力のまま書きます。
AIエージェントの効果測定のやり方|この記事で作るもの
作るのは、1件ごとに「自動で完了/人に回した」と理由が残るログと、そこから削れた時間を出す計算です。試行には、前回の記事AIエージェントとRPAの違いで使った架空の注文メール10件と、OpenAI の API(GPT-6 Sol)の読み取り結果を使いました。
準備|入れる前に、人手の時間を測っておく
いちばん大事な準備は、AIを入れる前に、同じ仕事を人がやったときの時間を数件測っておくことです。入れた後では、人手の時間はもう測れません。
使うデータは架空のダミーにします。どの情報を外部のAIに入れてよいかは生成AIの社内ルールの作り方にまとめました。
作る手順|1件ごとに結果と理由を残す
手順1 止める決まりを先に書く
AIの読み取り結果の後ろに、AIではない決まりを置きます。今回は次の3つです。
- 納期が空欄なら、人に回す
- 「末」「頃」「まで」を日付に直したら、人に回す
- 品目が2つ以上なら、人に回す
手順2 1件ごとにログを書く
決まりに当てた結果を、1件1行で書き出す短いスクリプトを作りました。実際の出力です(抜粋・一部の項目を省略)。
{"run": 1, "no": 1, "結果": "自動で完了", "理由": [], "AIの要確認": null}
{"run": 1, "no": 8, "結果": "人に回した", "理由": ["「末・頃・まで」を日付に直した"], "AIの要確認": null}
{"run": 1, "no": 9, "結果": "人に回した", "理由": ["納期が空欄"], "AIの要確認": null}
{"run": 1, "no": 10, "結果": "人に回した", "理由": ["品目が2つ以上"], "AIの要確認": null}
理由を残すのがポイントです。 人に回る件数が多いとき、どの決まりに当たっているかで直す場所が分かります。
手順3 件数を数える
2回分のログを数えた結果です。
| 実行 | 自動で完了 | 人に回した | AIが自分から要確認を出した | 値が正解と一致 |
|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 7件 | 3件 | 0件 | 10件 |
| 2回目 | 7件 | 3件 | 1件(No.9) | 10件 |
値は10件とも正解でした。 それでも、決まりに当たった3件は人が見ます。「10月末まで」を10月31日と読んだのは正しくても、それを確かめる手間は残ります。
手順4 削れた時間を計算する
ここから先は試算です。仮に人手で1件4分、人の確認が1件2分かかるとすると、10件で削れた時間は次のとおりです。
自動で完了 7件 × 4分 = 28分
人に回した 3件 × (4分 − 確認2分) = 6分
合計 34分
処理した10件に4分を掛けると40分です。6分の差は、人に戻ってきた分の手間です。件数が増えるほど、この差も大きくなります。
人が止める場所|AIの自己申告で数えない
AIが自分から「要確認」を出したのは、1回目0件、2回目1件でした。自己申告の数で「人に回った件数」を数えると、0件か1件になり、削れた時間を多く見積もります。
だから私なら、人に回す判断も、数える判断も、AIの外の決まりで行います。ログのうち「人に回した」の行は、人が見て処理を終えたら閉じる運用にします。毎日の件数の見方はAIエージェントの運用ログの残し方に書きました。
うまくいかないときの直し方
- 人に回る件数が多すぎる……ログの理由を数え、いちばん多い理由から直す。元の情報に答えがあれば、決まりを1つ減らせる
- 人手の時間を測り忘れた……仮の値だと明記して計算する。次に入れる業務では、先に測る
- 件数は減ったのに、人の手間が減った実感がない……人の確認にかかる時間を測る。確認の時間が人手の時間に近いなら、決まりか画面の出し方を見直す
判定表|何をどこで数えるか
| 数えるもの | どこから取るか | 誰が見るか |
|---|---|---|
| 自動で完了した件数 | ログの「自動で完了」の行 | 月に1回、担当者 |
| 人に回した件数と理由 | ログの「人に回した」の行 | 毎日、処理する人 |
| 人手の1件あたりの時間 | 入れる前の実測 | 入れる前に1回 |
| 人の確認にかかる時間 | 人に回した分の実測 | 月に1回、担当者 |
| 会社全体の生産性 | 決算の数字 | 経営者 |
会社全体の生産性の測り方は、AI導入の効果測定と労働生産性の式に書きました。
自社で作るのが大変なときの頼み先
ログを残す仕組みまで含めて外に頼むなら、AIエージェント開発会社おすすめ6選で頼む先を比べています。
削れた時間を数える前に、どの業務から任せるかを決める
効果を数えられるのは、任せる業務が決まってからです。当社のAI適合度診断は10問で、経営・活用・人材・データ・ルールの5分野から自社の現在地を点数にします。連絡先の入力は要りません。 ログを残す仕組みまで含めてAIエージェントを作る場合の費用の目安は、AI見積もりで先に確かめられます。
出典
- 入出力例とログは、当社の環境で架空の注文メール10件を OpenAI の Responses API(gpt-6-sol)で2回読み取り、当社で書いた仕分けのスクリプトに通した結果(2026年9月27日実行・2026年9月28日集計)
自社の場合、いくら?
作りたいものを入力するだけで、AIが約3分で概算見積もりを作成します。一般的なSIer相場との比較つき、無料・営業からのしつこい連絡はありません。
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